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売れない営業ほど「物件」を探してしまう理由【不動産売買仲介営業】

#ヒアリング#不動産仲介#営業

不動産仲介の新人営業マンほど、こう考えがちです。

「条件に合う良い物件さえ見つかれば、お客様は買ってくれる。」

だから毎日レインズを開き、物件情報を探し続ける。
新着物件が出ればすぐに紹介し、条件に近い物件を見つけては資料を送る。

しかし、現実はどうでしょうか。

  • 資料を送っても返信が来ない。
  • 案内をしても決まらない。
  • 何件見ても、「もう少し考えます」で終わってしまう。

すると営業マンはこう思います。

「もっと良い物件があれば決まるのに・・・」

ですが、本当にそうでしょうか?

私はこれまで数多くの営業マンを見てきましたが、
「良い物件がなかったから売れなかった」
というケースは、実はそれほど多くありません。

本当の原因は別のところにあります。

それは、お客様がまだ「現実」と「理想」の違いを理解できていない状態で家探しをしていることです。

私はこれを、「不動産ファンタジー」と呼んでいます。

今回は、不動産仲介営業における、この「不動産ファンタジー」について書いていきます。


お客様は「不動産ファンタジー」の中で家を探している

「ファンタジー映画」を思い浮かべてみてください。

  • 魔法が使える世界
  • ドラゴンが空を飛ぶ世界
  • 時間を自由に行き来できる世界

もちろん、それらは現実には存在しません。

しかし、その世界観を信じている間は、物語を楽しむことができます。

 

実は、住宅購入でもこれと似たようなことが起きています。

住宅を購入した経験がないからこそ、
自分の中で勝手に描いた「理想の住宅購入」を想像してしまうのです。

つまり、不動産にもファンタジーが存在します。

 

不動産ファンタジーとは何か

例えば、こんな考え方です。

「全部条件を満たす物件があるはず。」
「もう少し待てば、もっと良い物件が出るかもしれない。」
「価格は安い方がいい。でも立地も譲れない。」
「築浅で駅近で広くて駐車場が2台あって、予算内で買える家がきっとある。」

もちろん、理想を持つこと自体は悪いことではありません。

 

しかし、その理想が現実の市場と大きく離れてしまうと、お客様はいつまでも決断できなくなります。

なぜなら、「理想の物件」を探し続けることになってしまうからです。

そして営業マンまで一緒になって、その存在しない物件を探し始めてしまう。

これが、「物件頼り営業」の始まりです。

 

なぜ人は幻想を持ってしまうのか

では、なぜこのようなファンタジーが生まれるのでしょうか。

理由はとてもシンプルです。

住宅購入を経験したことがないから
不動産相場の成り立ちを知らないから

例えば、車を買う場合、多くの人は価格帯をある程度は知っています。

 

新車のプリウスならこのくらい。
中古のアルファードならこのくらい。

相場感があります。

しかし、住宅は違います。
人生で初めて購入する人がほとんどです。

しかも何千万円という大きな買い物です。

 

さらに今は、

  • SUUMO
  • HOME’S
  • YouTube
  • Instagram
  • SNS
  • 知人の体験談

など、情報だけは大量に入ってきます。

ところが、それらはあくまで「一部分の情報」であり
とりわけ、「成功例」や「都合のいい情報」だけが取り上げられて、それが人の記憶に残ります。

 

すると、

「自分にも合う理想の物件があるはず。」

という期待が生まれます。

 

ですが、不動産市場はそんなに都合良くできていない。これが現実です。

 

なぜ数ヶ月探しても家が決まらないのか

「もう3年くらい家を探しています・・・。」

不動産仲介の営業現場にいると、この言葉を聞くことは珍しくありません。

 

一見すると、

「慎重に探している人なんだな。」

と思うかもしれません。

しかし実際には、3年以上探している人の多くには共通点があります。

 

それは、

「希望条件」と「市場相場」が一致していないことです。

 

家が決まらない理由は、とてもシンプル

家が決まらない理由を複雑に考える必要はありません。

何年間も家を変えていない人、多くの場合の原因は

希望条件
 ≠
市場相場

この状態だからです。

 

例えば、

5,000万円以内で、北千住駅から徒歩5分以内、
築5年以内、4LDK、駐車場2台、人気小学校の学区内。

誰が見ても好条件の物件が市場に存在するなら、もうすでに誰か、おそらく不動産業者が購入しているはずです。

つまり、市場に存在しない条件を探し続けている限り、時間だけが過ぎていくのです。

 

相場と一致している人は、すでに買っている

ここで一つ考えてみてください。

本当にお客様が希望する条件と、市場相場が一致した人は、どうなるでしょうか。

答えはシンプルです。

すでに購入できています。

 

市場には毎日新しい物件が出ます。
同時に毎日、物件は売れていきます。

つまり、市場と条件が一致した瞬間に、購入という意思決定が起きています。

反対に、何ヶ月も決まらない人は、

「良い物件が出ない」のではなく、
「市場と希望条件が一致していない」可能性が高いのです。

これは非常に大きな違いです。

 

待てば解決する問題ではない

ここで多くのお客様が考えるのが、

「もう少し待てば、もっと良い物件が出るかもしれない。」

という考えです。

 

もちろん、偶然、理想に近い物件が出ないとは断言できません。
しかし、営業は偶然を期待してはいけません。

市場が変わることを待つよりも、
今ある市場を理解し、希望条件を整理し、
何を優先するのかを明確にする。

その方が、はるかに現実的であり、理に叶った選択です。
そして何より、住宅を購入した先の未来を早く手に入れることができます。

 

営業が向き合うのは物件ではない

私たち営業マンは、物件を変えることはできません。

価格も、立地も、築年数も、
営業マンが変えることはできません。

 

では何を変えられることは何か?

それは、「お客様の理解」です。

市場を理解していただくこと。
優先順位を整理すること。
価値観を言語化すること。

営業が向き合うべき所は、レインズの検索画面ではありません。
物件情報ではありません。

お客様の頭の中にある”理想と現実のズレ”なのです。

だからこそ、営業力とは物件を探す力ではなく、お客様の考えを整理し、意思決定を支援する力なのです。

 

必要なのは「希望」と「市場相場」を一致させること

私たち、不動産仲介営業マンは、
市場に存在している物件の中から、お客様にとって最適な一件を一緒に見つける
これが仕事です。

この、最適な一件を見つけるために必要なことが

お客様の希望条件と、市場相場を一致させることです。

 

例えば、お客様が、

「4,000万円以内で駅徒歩5分、新築戸建てが欲しい。」

と言っていたとします。

しかし、そのエリアの新築市場相場では4,500万円が相場だったらどうでしょう。

営業がどれだけ頑張っても、その物件を作ることも提案することもできません。

 

だから営業は、

「お客様の考え方を整理する。」

ことが必要になります。

 

例えば、

「駅徒歩5分を10分まで広げたらどうでしょう。」
「予算を月々5,000円だけ見直したら、もう少し選択肢が広がりますが可能性はありますか。」
「あと2〜3駅、通勤をあと10分伸ばすことで、見れる物件数がこれだけ変わってきます。

こうした提案によって、希望条件と市場相場を少しずつ近付けていく。

それが営業の本来の役割です。

 

条件を減らすことが目的ではない

ここで勘違いしてはいけないことがあります。

それは、

営業は、お客様の条件を妥協させる仕事ではありません。

 

「駅は遠くても仕方ありません。」
「新築はないので中古で我慢しましょう。」
「ここは妥協するしかないですね。」

これでは、お客様の気持ちが蔑ろです。

 

営業がやるべきことは、

「お家探しにおいて、何を優先するか。」

を一緒に整理することです。

例えば、

「駅徒歩5分にこだわる理由は何かありますか。」
「本当に優先したいのは、駅距離ですか。それとも通勤時間ですか。」

こうした質問を通して、条件の奥にある価値観を見つけていきます。 

 

すると、

「駅よりもトータルの通勤時間が大事だった。」
「実はそれよりも実家との距離を気にしている。」

そんな本当の優先順位が見えてきます。

 

売れない営業は「物件条件」しか聞いていない

「ご予算はいくらですか。」
「希望エリアはありますか。」
「何LDKをご希望ですか。」
「築年数はどのくらいまでですか。」
「駅から何分以内が良いですか。」

新人営業マンは、一生懸命によくこんな質問をします。もちろん必要な質問です。

ですが、これだけでは不動産仲介の営業とは言えません。

これは、単に、物件検索に必要な条件を聞いているだけです。

 

本当に知るべきことは「なぜ」

では何を聞くべきなのでしょうか。

重要なのは、条件ではなく、理由です。

例えば、

「駅徒歩10分以内。」

という条件があったとします。

営業として知りたいのは、「駅徒歩10分」という条件ではありません。

「なぜ10分以内なのでしょうか?」

という理由です。

通勤を1分でも短くしたいのでしょうか。
お子様の送り迎えが関係しているのでしょうか。
車を持たない生活だからでしょうか。

理由が分かれば、代替案も同時に考えられます。

 

条件の裏には必ず価値観がある

例えば、

「4LDKが欲しい。」

という希望。

その理由は、

  • 子ども部屋が必要だからかもしれません。
  • 在宅勤務だからかもしれません。
  • 親との同居を考えているからかもしれません。

同じ4LDKという条件でも、その人によって、理由は全く違います。

だから営業は、条件を聞いて終わってはいけません。
その背景まで聞く必要があります。

 

 

条件を聞く営業と、背景を聞く営業

売れない営業は、「物件条件」を集めます。
売れる営業は、物件条件の「理由」を集めます。

売れない営業は、検索条件を増やします。
売れる営業は、お客様理解を深めます。

 

この違いは、案内の時に大きな差になります。

なぜなら、背景を知っている営業は、

「この物件が、お客様に合う理由」

まで説明できるからです。

 

「物件頼り営業」が売れない理由

ここまで読んでいただくと、不動産仲介営業の仕事が「物件を探すこと」ではないことが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。

しかし、新人営業ほど、どうしても物件に頼ってしまいます。

 

なぜなら、

「良い物件さえ見つかれば、契約になる!」

そう思い込んでいる節が多いからです。
ですが、この考え方には大きな落とし穴があります。 

「条件に合う物件を探します」が口癖になっていないか

初回接客で、新人営業マンが最後によく言う言葉があります。

「条件に合う物件を探して資料をお送りしますね。」

もちろん悪い言葉ではありません。
ですが、この一言だけで終わってしまう営業は非常に危険です。

なぜなら、その時点ではまだ、
お客様自身が何を優先するべきか整理できていないからです。

整理されていない条件で物件を探しても、
紹介される物件も、判断基準も、すべて曖昧なままになります。 

資料を送っても返信が来ない理由

新人営業からよく相談されます。

「資料を送ったのに返信がありません。」
「LINEを既読スルーされています。」
「電話にも出てもらえません。」

資料が原因ではありません。

その前の段階で、
お客様が『この条件で探す意味』を理解できていないのです。

 

例えば、お客様が仰った希望条件に合致した30件の物件資料を送ったとします。

仮に、その中に良い物件があったとしても、
お客様ご自身が

「本当に今買うべきなのか。」
「この条件で良いのか。」
「もっと良い物件があるのではないか。」
「親とも話さないとな。」

という状態なら、どれだけ資料を送っても決まりません。

 

つまり、
物件が不足しているのではなく、
判断材料・決断材料が不足しているのです。

 

営業が探すべきものは物件ではない

ここで発想を変えてみてください。

営業が探すべきなのは、新着物件でしょうか。違います。

営業が探すべきなのは、
お客様が決断できない理由です。

 

例えば、

・予算に不安がある
・親の反対がある
・住宅ローンが心配
・今買って良いのか迷っている
・条件の優先順位が決まっていない

このような問題が残ったままでは、
どんな物件を紹介しても決まりません。

だから営業は、希望条件をもとに物件検索をする前に、
決断できない理由を探す必要があります。

 

「良い物件がない」の原因は3つしかない

判断材料・決断材料が不足しているまま、
物件資料をお送りしたお客様から、よくこんな言葉が返ってきます。

「良い物件がありませんね。」
「なかなか決め手がないですね。」
「どれもまぁまぁってかんじですね。」

一見すると、希望に合致する物件がなく、物件に問題があるように聞こえます。


しかし実際には、「良い物件がない」という状況には、大きく3つの原因しかありません。

 

原因① 不動産ファンタジーを抱いている

すでにお話ししたように、

理想だけが膨らんでしまっている状態です。

全部条件を満たす家。
もっと安く買える家。
もう少し待てば出てくる家。

こうした幻想が残っている限り、現実の物件はすべて物足りなく見えます。

営業がやるべきことは、その幻想を否定することではありません。

市場を一緒に理解し、現実との距離を縮めることです。

 

原因② 希望条件と市場相場が一致していない

2つ目は、条件そのものが市場と合っていないケースです。

価格。エリア。築年数。駅距離。間取り。

この組み合わせで探して市場に存在しないのであれば、
いつまで待っても家は決まりません。

営業は、ない物件を探し出すのではなく、
優先順位を整理し、現実的な選択肢を一緒に探す人です。 

 

原因③ 「買う理由」が整理されていない

そして3つ目。
私はこれが最も重要だと思っています。

お客様は、

「何を買うか。」

ではなく、

「なぜ今買うのか。」

が整理されていないのです。

 

住宅購入は、人生で最も高い買い物です。

だからこそ、納得できる理由が必要で、
不安や迷いが1つもあっては先に進みません。

その理由が曖昧で、不安が残っているままでは、

どんな物件を見ても、
「もう少し考えます。」
になります。

本当に解決すべき問題

新人営業マンは、

「良い物件を探そう。」
「希望条件に当てはまる物件を紹介しよう。」

と考えます。

しかし、本当に解決すべきなのは、本当に探し出すものは、物件ではありません。

・理想と現実のズレ
・市場相場とのズレ
・意思決定できない理由

この3つです。

ここを解決できれば、

「良い物件がない。」

という言葉は、自然と減っていきます。

 

最後に

現場で成果を出している営業マンは、とっておきの物件情報を知っているから売れているのではありません。

お客様を知っているから売れているのです。

お客様がどんな人生を歩み、

何を大切にし、何に悩み、何を不安に感じ、
そして、なぜ家を買おうとしているのか。

そこまで理解できて初めて、
本当に紹介すべき一件が見えてきます。

営業マンが毎日向き合うべきなのは、レインズの検索画面ではなく

お客様の頭の中にある「理想」と「現実」のギャップです。

そのギャップを埋め、市場を正しく理解し、
納得して意思決定できる状態をつくる。

それこそが、不動産仲介営業という仕事の本質であり、物件紹介では代替できない営業の価値なのです。

この記事の著者

関根 祐太

株式会社Re-Branding 代表取締役
不動産 売買仲介営業 専門/研修講師
 
不動産をはじめ10業種以上の営業現場経験を経て、2023年に株式会社Re-Brandingを設立。1on1などを通して社員一人ひとりの本音や課題に向き合い、組織力を強化する支援を行う。離職率40%削減や売上140%向上といった成果を創出。
 
【専門分野】
不動産売買仲介/離職防止と組織力強化/営業プロセス改善
  
「一人ひとりの本音に向き合い、課題の本質を共に探り、解決へ導く」ことを信条に、企業の未来を共に形作るパートナーとして活動中。

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