自信が無くても、お客様から信頼される3つの考え方【不動産売買仲介営業】
新人営業マンからよく聞く悩みの一つに、
「お客様の前に立つと、自信がなくなってしまいます」
というものがあります。
案内前になると緊張する。
何か質問されたらどうしようと思う。
知らないことを聞かれた瞬間、頭が真っ白になる。
そして、自信がなさそうな話し方や立ち振る舞いになってしまう・・・
では、一体どうすれば自信を持てるのでしょうか?
「もっと勉強して、知識をつけるしかない!」
もちろん、それも間違いではありません。
知識が増えれば、答えられることは増えます。
経験を積めば、初めて遭遇する出来事も減っていきます。
ただ、新人営業マンに対して、
「知識と経験が増えれば、そのうち自信がつくよ」
だけで終わらせてしまうと、少し無理があります。
なぜなら、新人のうちは知識も経験も足りなくて当たり前だからです。
しかも、不動産売買仲介という仕事には、経験を積んだからといって「もう何でも分かる!」という状態になりにくい特有の事情があります。
だからこそ、新人営業マンが考えるべきなのは、
「どうすれば自信を持てるか」だけではありません。
知識も経験も足りない状態で、
どうすれば自信のなさをカバーし、お客様から信頼される立ち振る舞いができるのか。
今回は、そのために新人営業マンでもすぐに実践できる3つの考え方について書いてみたいと思います。
そもそも、新人が自信を持てないのは当たり前
まず、「自信がない」という状態について考えてみましょう。
なぜ、自信がないのでしょうか?
一つの大きな原因は、やはり、
知識がない。経験がない。
ということだと思います。
自分の中に確かな知識があって、
「これを聞かれたら、こう答えればいい!」
「この場面では、こういう対処をする!」
と分かっていれば、不安はかなり減ります。
だから知識を身につけることは大切です。
ただし、新人のうちにすべての知識を身につけることはできません。
特に不動産売買仲介営業では、なおさらです。
例えば、自社で一つの商品を販売している会社なら、その商品の特徴や価格、メリット・デメリットを徹底的に覚えることで、ある程度対応できるようになるかもしれません。
しかし、不動産仲介営業には、基本的に覚え切れば終わる「自社商品」がありません。
今日案内するマンションと、明日案内するマンションは違います。
同じマンションであっても、部屋が違えば状態も違う。
売主も違う。設備も違う。
修繕状況も違う。管理規約も違う。
周辺環境も違います。
中古住宅や中古マンションになれば、そこに以前住んでいた人がどのように使ってきたのかまで物件の状態に影響します。
つまり私たちは、
毎回、固有の違う商品を扱っています。
だから、1年経験すれば全部分かるようになるわけではありません。
3年経験していても、初めて見る物件について分からないことはあります。

この仕事で、
「何を聞かれても全部答えられるようになったら、自信を持とう」
と考えていたら、おそらくいつまで経っても自信は持てません。
では、新人営業マンは何を自信にすればいいのでしょうか。
ここからが重要です。
「この物件に関しては答えられる」という自信を作る
不動産全般について何でも答えられる状態になるのは難しい。
でも、新人営業マンでも自分で作れる自信があります。
それが、
今日、自分が案内する物件についての自信です。
当日案内する物件は、多くの場合、事前に分かっています。
ならば、その物件について徹底的に調べることはできます。
例えば中古マンションの販売図面を見たとき、
“トランクルーム1.67㎡” と書かれていたとします。
お客様から、
「このトランクルームってどこにあるんですか?」
「このトランクルームってなんですか?」
と聞かれるかもしれません。
“ポーチ面積”と書いてあれば、
「ポーチって何ですか?」
と聞かれるかもしれない。
修繕積立金が周辺のマンションと比べて高ければ、
「なんで、このマンションだけ修繕積立金が高いんですか?」
と聞かれるかもしれません。
今の自分では答えられない。それ自体は構いません。
でも、販売図面を見た時点で、
「これ、何なんだろう?」
と思うことはできます。
そして、自分で調べることもできます。
- 自分で調べる。
- 先輩に聞く。
- 管理会社に確認する。
- 売主側の不動産会社に確認する。
案内前であれば、できることはいくらでもあります。
ここは、新人だからできない話ではありません。
むしろ新人だからこそ、やるべき準備です。
「知らないこと」と「調べられたのに調べていないこと」は違う
ここは、はっきり分けて考える必要があります。

不動産には、事前にすべてを把握することが難しい情報もあります。
例えば、重要事項説明書に書かれるような情報として
・私道に関する権利や負担
・大規模修繕の履歴と今後の計画
・契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の免責や制限
など。
これは、事前に把握できないことがあっても、仕方ありません。
しかし、
事前に販売図面を見れば疑問に思えたことまで調べず、お客様の前に立つことは別です。
「不動産については、まだまだ分からないことがある。」という状態で構いません。
でも、
「今日案内するこの物件についてなら、8割、9割は答えられます!」
という状態は、新人でも作れます。
なぜなら、
調べたから。聞いたから。確認したから。
自分で準備したからです。
知識と経験が足りない新人でも、
事前準備によって作れる自信はある。
これが、考え方の1つ目です。
「分からない質問が来る」ことまで想定しておく
ただ、先ほど述べたように、どれだけ準備しても、すべての質問に答えることはできません。
例えば、
「このマンションの駐車場に、ランドクルーザーは入りますか?」
「ペット可と書いてありますが、イグアナも飼えますか?」
「この物件に過去の浸水履歴はありませんか?」
「管理規約上、これはできますか?」
こんな質問をされるかもしれません。
お客様から何を聞かれるかなんて、すべて事前に予測することはできません。
ここで自信のない新人営業マンは、予想外の質問を受けて、慌てます。
「どうしよう、分からない…」
「うわぁ…そこまで調べてこなかった。」
「そんなことを聞かれると思っていなかった(汗)」
この状態になると、急に声が小さくなったり、曖昧な回答をしたり、それっぽいことを言って誤魔化したりしてしまいます。
これが一番よくありません!
繰り返します、これが一番よくありません!
では、どうするのか?
答えはシンプルです。
分からない質問をされたときの立ち振る舞いを、先に決めておく。これです。
例えば、
「こちらについては、正確な情報を確認したうえで改めてご回答します」
「管理会社に確認して、本日中にご連絡します」
これでいいのです。
大事なのは、すべての質問を想定することではありません。
想定していなかった質問が来ることまで、想定しておくことです。
そして、
- 分からなければ確認する
- その場で曖昧な回答をしない
- 誰に確認するのかを先に考える
- いつまでに回答するのかをお客様へ伝える
ここまで自分の中でルールにしておくこと。

そうすると、知らない質問が来ても慌てません。
「分からない=どうしよう(汗)」
ではなく、
「分からない=確認して回答する!」
になるからです。
自信がない人ほど、
「何が起きても対応できるようになること」
を目指しがちです。
でも、ハッキリ言いますが、新人にそれは無理です。
それよりも、
「想定外が起きたときに、どう動くかを決めておくこと」
の方がはるかに現実的です。
これが、考え方の2つ目です。
お客様は、あなたが新人だと知らない
そして、3つ目。
私は、これが新人営業マンにとって特に重要だと思っています。
新人営業マンがお客様の前に立つとき、必ずと言っていいほど発生するものがあります。
それが、
営業マンとお客様との認識のギャップです。
例えば、あなたが不動産会社に入社して2か月目だったとします。
当然、分からないことだらけです。
- 初めて見る設備があるかもしれない。
- 物件の鍵の開け方すら分からないこともある。
- キーボックスが見つからないことだってある。
現地に行ってみたら、事前に想像していた物件と全然違うこともあります。
新人なのだから、当たり前です。
ところが、
お客様は、それを知りません。
目の前にいる営業マンが、
- 何歳なのか。不動産歴何年なのか。
- 宅建を持っているのか。
- これまで何件契約してきたのか。
- 優秀な営業マンなのか。
基本的には知りません。
お客様から見れば、あなたの経歴がどうであれ
「不動産会社から来た、不動産のプロ」
です。
だから、お客様はあなたへ様々な質問します。
「これくらいは教えてくれるだろう」
「ローンについても知っているだろう」
「物件について聞けば何でも教えてくれるだろう」
という前提で、営業マンであるあなたに接してきます。
一方、営業マンであるこちらは、
「まだ入社したばかりで、分からないことだらけ」
という状態です。
ここには明確なギャップがあると思いませんか・・・?
このギャップを放置したまま案内すると、
「え、営業なのに、そんなことも分からないの?」
「さっきから確認しますばかりだけど、あなた大丈夫?」
「この人に任せていいのかな?」
となってしまいます。

知識が足りないことそのものより、
お客様が期待していた営業マン像と、実際の営業マンとのズレによって信頼が崩れるのです。
だから、この前提を最初に合わせておく必要があります。
「新人です」は、後からではなく先に言う
では、どうやって、このギャップがある状態から前提を合わせるのか。
私は新人の頃、
自分が新人であることを最初に伝えていました。
例えばこうです。
「実は私、この業界ではまだ新人です。なので、至らぬ点はあるかもしれません。
ただ!本日の物件についてはしっかり調べて準備してきています。もし分からないことがあれば、会社や上司、専門業者にも確認して、必ず回答いたしますので、気になることは何でもおっしゃってください!
本日はよろしくお願い致します。」
これを、案内の最初に伝えておく。
ポイントは、「最初に!」です。
お客様から質問されて答えられなかった後に、
「すみません、実は新人なので…分からなくて…」
と言ってはいけません。
同じ「新人です」でも、これでは意味がまったく違います。
答えられなかった後に言えば、“言い訳”に聞こえます。
でも、案内が始まる前に言えば、“前振り”になります。
名刺交換をして、物件を見る前。最初の数分で伝えておく。
そうすれば、
「何でも知っているベテラン営業マン」
というお客様の前提が、
「まだ経験は浅いけれど、しっかり準備して対応してくれる営業マン」
という前提に変わります。

問題が起きてから説明するのではなく、起きる可能性があることを先に伝えておく。
今回の「新人です」という一言も同じです。
後から使えば言い訳。
前に使えば、信頼を守るための前振りになる。
この違いは非常に大きいと思います。
新人だから使える「新人ボーナス」がある
私はこの「新人です」ということを最初に伝えておくことを、
「新人ボーナス」
と呼んでいます。
新人であることを先に伝えると、お客様から見たハードルが適正な位置まで下がります。
すると、多少分からないことがあっても、
「まぁ、新人なら、まだ分からないこともあるよね。」
と受け止めてもらいやすくなります。
でも、新人ボーナスの面白いところは、それだけではありません。
ハードルが下がった状態でも、
- 物件についてしっかり調べている。
- 質問されたことを一生懸命メモする。
- 分からないことをすぐ確認する。
- 約束した回答をきちんと返す。
そうすると、
「新人なのに、ちゃんとしている!」
というプラス評価に変わります。
例えば、まだ若い新人営業マンが、
分からないことを知ったかぶりして、それっぽい専門用語を並べている。
一方では、
「すみません、そこは今正確にお答えできないので確認します」
と言って、一生懸命調べて、きちんと回答を返してくれる。
どちらの方が信頼できるでしょうか?
私は後者だと思います。
これは年齢の問題でもありません。
20代でも、30代でも、40代でも、同じです。
見た目がベテランに見えたとしても、不動産業界では新人なのであれば、
「この業界ではまだ新人です」
と伝えればいい。
そのうえで、
「私自身で分からないことがあれば、会社や上司、専門業者まで含めて確認し、責任を持って対応します!」
と伝える。
自分一人の知識ですべてを解決する必要はありません。
会社には経験があります。
上司には知識があります。
必要であれば管理会社や専門業者にも確認できます。
新人である自分一人で戦う必要はないのです。

知識が足りなくても、立ち振る舞いで信頼は作れる
新人営業マンは、
「知識をつけなければ信頼されない」
と思いがちです。
もちろん、知識は必要です。
勉強しなくていいわけではありません。
ただ、新人のうちから知識だけで信頼を勝ち取ろうとすると無理があります。
知識は一日では増えません。
経験も一日では積めません。
でも、立ち振る舞いは今日から変えられます。
- 事前にできる準備を徹底する。
- 分からないことを誤魔化さない。
- その場で適当な回答をしない。
- 確認すると約束したら、必ず確認する。
- いつ回答するのかを伝える。
そして、自分が新人であることも正直に伝える。
こうした行動を積み重ねれば、
「この人は何でも知っている」
という信頼はまだ得られなくても、
「この人なら、分からないこともきちんと調べてくれる」
という信頼は得られます。
不動産のプロとしての知識だけで信頼を得ようとしなくていい。
新人のうちはまず、
一人の人間として信頼されればいいのです。
- 変に知ったかぶりをする。
- 専門用語で誤魔化す。
- 分からないのに、それっぽい回答をする。
そんなことをするくらいなら、
「今は、分かりません。ただ、確認して必ず回答します!」
と言える方が、よほど信頼できます。
新人だからこそ、
正直さと誠実な対応を武器にしていい。
私はそう思っています。

まとめ
新人だから、自信がない。これは仕方ありません。
知識も経験も足りないのですから、当然です。
でも、
自信がつくまで、お客様の前で不安そうにしていていいわけではありません。
知識不足そのものを、今日すべて解決することはできません。
しかし、知識不足によって生まれる「自信のなさ」は、自分の行動によってかなりの部分をカバーできます。
そのためにやることは、大きく3つです。
1.案内する物件については、徹底的に調べる
不動産すべてを知ることはできなくても、
「今日案内するこの物件なら、8割、9割は答えられる」
という状態を作る。
2.分からないときの立ち振る舞いを決めておく
想定外の質問が来ることまで想定して、
「分からなければ確認し、期限を伝えて回答する」
という自分のルールを作っておく。
3.新人であることを事前に伝え、前提を合わせる
答えられなかった後に言い訳として使うのではなく、
案内前に「新人です」と伝えておく。
そして、
「分からないことは会社や上司、専門業者まで含めて確認して回答します」
と伝える。
この3つは、経験がなくても今日からできます。

新人営業マンが最初に目指すべきなのは、
何でも答えられる営業マンではありません。
分からないことが起きても、
慌てない。
誤魔化さない。
知ったかぶりをしない。
そして最後まで、きちんと対応する。
「分からないことがあっても、この人なら安心して任せられる」
そう思ってもらえる営業マンになること。
知識と経験は、その後についてきます。
新人のうちは、無理に自信があるふりをする必要はありません。
準備とルールと前振りによって、自信がない状態でも堂々とお客様の前に立てる状態を作る。
それが、新人営業マンが最初に身につけるべき「自信の作り方」だと思います。
