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なぜ契約・金消契約・立会い・決済日を「平日」で設定する必要があるのか?

#不動産仲介#営業

不動産売買仲介の営業では、

「契約日はいつにしましょうか?」

という話が、お客様との間で必ず出てきます。

そのとき新人営業マンほど、

「お客様は土日がお休みだから、契約も土日の方が親切なのでは?」

とも考えがちです。

もちろん、お客様の予定を尊重することは大切です。

 

しかし、不動産仲介営業の現場では、多くの会社が

契約・金銭消費貸借契約・決済・立会いなどを平日に設定する

という考え方を持っています。

 

これは単なる会社のルールではありません。

営業活動の流れや、不動産取引の仕組み、お客様の購入心理を考えると、とても合理的な理由があります。

今回は、

「なぜ契約関係は平日に行い、土日は案内に使うべきなのか」

について解説します。


営業マンの仕事は「契約」ではなく「契約を生むこと」

まず最初に考えてほしいことがあります。

不動産仲介営業マンの仕事とは、一体何なのか・・・?

それは、契約を生み続けること、とここでは定義します。

契約とは、
お客様から反響を得て、対象物件をご案内して、
お客様の中で迷いや不安がなく、気に入った物件を購入する意思が固まるという、
1つひとつのプロセスの先にある「結果」です。

この契約という結果を生むには、必ず原因があります。

「米を収穫する」という結果を得るためには、
「田んぼに稲を植えて、水を与える」という原因が必要です。

 

営業において、「契約」という結果を生む原因となる行動が、何よりも案内です。

どれだけ不動産情報サイト上に、素敵な写真を掲載したとしても、
電話でお客様の希望条件をヒアリングしたとしても、

お客様を物件へご案内するプロセスを踏まないと、
99%のお客様は「この物件を買います!」とはなりません。

(稀に、お問合せの時点で「これ買いたいです」という方がいますが、極稀なので99%です)

そして、我々が出会うお客様は、多くの場合、土日祝がお休みです。

だからこそ、

  • 初回面談
  • 物件見学
  • 現地案内

などは、土日祝に行われることが多くなります。

つまり、

最も契約という結果の原因が生まれやすいが「土日祝」なのです。

 

土日に契約を入れることは「川の流れを止める」のと同じ

営業全体を一つの流れで考えてみましょう。

土日祝の案内は、未来の契約を生みます。
契約は、過去の案内を行なった先にある結果です。

つまり、川に例えると、案内が上流、契約は下流にあります。

 

もし土日に契約のスケジュールを入れたならば、
その時間は新しいお客様の案内ができません。

一件の契約のために、
本来なら新たな契約に繋がるかもしれない案内機会を失うことになります。

川で例えるなら、
水が流れてくる上流を、自らせき止めてしまうようなものです。
上流で水を止めてしまうと、下流に広がる田畑に水が行き渡らなくなります。

営業マンは、常にこの川の流れのように、
案内の先に次の契約があるという一連の流れを見据えて行動しなければなりません。

契約という結果を得るために、
契約を生む原因となる案内の機会を減らしてはいけないのです。


「お客様にとって土日の方が優しい」は正しいのか

ここで疑問に思う人もいるでしょう。

「でも、案内も契約も時間をいただくわけですし、
 お客様が休みの土日に契約した方が親切ではないですか?」

確かに、一見するとそのように思えます。

 

しかし、不動産取引は、契約だけで完結するものではありません。

購入〜お引き渡しまでには、

  • 売買契約
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約
  • 物件の立会い(新築の場合)
  • 決済・引渡し

という流れがあります。

 

そして、この中でも特に
住宅ローン契約と決済は銀行の営業日でしか行えません。

銀行は基本的に土日祝日が休みです。

つまり、
契約以外にも平日に時間を確保して行なっていただく手続きが、いくつもあるのです。

 

不動産購入における営業プロセス全体の流れとして、
お客様には、「通念上、こういうものです」とご理解いただくのが、
何かと合理的なのです。


時間が経つほど、購入意欲は下がっていく

もう一つ重要なのが、時間と購買意欲です。

 

例えば、お客様のお休みである土曜日に物件を見学し、
その場で買付申込までいただいたとします。
この時、住宅ローンの事前審査も完了しているとします。

すると、このあとに残るのは、契約手続きだけです。

 

この状態で、

「では、次の土曜日に契約しましょう!」

となると、購入申し込みから契約まで、1週間の時間が空いてしまいます。

 

もちろん、契約書類準備に伴う物件調査などで、多少日数が必要なケースもあります。

しかし実情としては、買付後、3日以内に契約を行うことがほとんどです。

 

なぜなら、人は時間が空けば空くほど、購入意欲が下がるからです。

購入直後は、

「絶対この家が欲しい!住みたい!これしかない!」

と思っていたとしても、

数日経つと、

  • 本当にこの家で良かったのか
  • 実は他にもあるのではないか
  • 少し高かったかな
  • もう少し考えてもいいかも

という気持ちが生まれ始めるのが人間です。

 

これは営業力の問題ではなく、人間の心理として、ごくごく自然なことです。

 

我々は、この人間心理を理解した上で、
お客様が最初から求めている「住宅購入」という理想の未来を、
確実に叶えて上げられる存在でなければいけません。

 

「もう少し考えてもいいかも、実は他にもあるのではないか。」というお客様の気持ちに対して、営業マンとして「待つこと・考えること」が、本当にお客様を大切にすることなのか?については、こちらの記事で解説しています。

 

我々は、
「そもそも人間の意思は弱い」
「考えたら”辞める””もう少し考える”という選択をしがち」
「時間と共に、気持ちは変化する」
という人間心理を理解した上で、

購入申し込み後は、できるだけ早く契約への段取りを進めることで
結果的に、お客様が
「この物件で契約できて良かった。ありがとうございます。」
という状態になることを常に目指しているのです。


だからこそ、お客様には平日の契約をご協力いただく

もちろん、お客様の仕事や生活は尊重しなければいけません。
しかし、住宅購入は人生で何度も経験するものではありません。

必要であれば、
仕事帰りに時間を調整していただく。
有給休暇を取得していただく。
ご夫婦のどちらかが代理で契約する。

そのような方法を一緒に考えることもあります。

 

ここで営業マンが理解しておかなければならないのは、

「営業都合・会社都合で平日に設定したい」のではない

ということです。

 

我々の不動産売買仲介の営業では、
申し込みをいただいたから終わりではありません。

契約するまでは、どれだけ「大丈夫」と言われていても、
他のお客様に購入されてしまう可能性が拭えません。

だからこそ、できるだけ早く契約を完了させることが、
結果的には、お客様が気に入った世界に1つしかない貴重な物件とのご縁を、守ることにつながります。


仲介営業と自社販売では考え方が違う

ちなみに言うと、すべての不動産会社が同じ考え方ではありません。

例えば、

自社で建物を建築し、自社のみ販売している物件を持っている会社であれば、
競合他社や見えない購入検討者との取り合いは、基本的にありません。

お客様の購入意思が変わらないのであれば、
契約が来週でも問題にならないケースもあります。

 

しかし、我々の仲介営業は違います。

基本的に、一つの物件を複数の会社が同時に紹介しています。

つまり、今日迷っている間に、
別のお客様が契約してしまう可能性が常に存在しています。

だから仲介営業では、
「申し込み」ではなく「契約」まで完了して初めて安心できる
という感覚が重要になります。

同じ不動産業界でも、業態・戦略・収益構造が違えば、
営業の考え方も変わるのです。


営業都合ではなく、お客様のご縁を守るために

このテーマで最も気を付けなければならないことがあります。

 

それは、お客様から

「それって、あなたが営業だから、早く契約を取りたいだけなんでしょう?」

と思われてはいけないことです。

もしも営業マン自身が、
「契約を取りたいから契約日を早める」
と言う考えでお客様へ話をしてしまえば、必ず言葉には表れます。

契約を急ぐ理由は、営業成績のためではありません。
お客様が気に入った物件とのご縁を確実に結び、
安心して住宅購入という大きなプロジェクトを完了していただくためです。
物件との縁が結ばれずに悔いを残さないためです。

 

だからこそ、初回案内や購入申込の段階から、

「この後は契約・住宅ローン・決済と進んでいきますので、平日に少しお時間をいただく場面が出てきます。」

と、あらかじめスケジュール感をお伝えしておくと、お客様も心の準備ができます。

営業とは、

目の前の契約だけを見る仕事ではありません。
その先の流れまで見据え、お客様にとって最善の選択ができるよう支援する仕事です。

契約日を平日に設定するという考え方も、そのための営業戦略であり、お客様の利益を守るための実務なのです。

この記事の著者

関根 祐太

株式会社Re-Branding 代表取締役
不動産 売買仲介営業 専門/研修講師
 
不動産をはじめ10業種以上の営業現場経験を経て、2023年に株式会社Re-Brandingを設立。1on1などを通して社員一人ひとりの本音や課題に向き合い、組織力を強化する支援を行う。離職率40%削減や売上140%向上といった成果を創出。
 
【専門分野】
不動産売買仲介/離職防止と組織力強化/営業プロセス改善
  
「一人ひとりの本音に向き合い、課題の本質を共に探り、解決へ導く」ことを信条に、企業の未来を共に形作るパートナーとして活動中。

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