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なぜ住宅ローンの事前審査は最初に行うべきなのか?【不動産売買仲介営業】

#不動産仲介#事前審査#営業

不動産営業をしていると、会社や上司からこんなことを言われるでしょう。

「早めに住宅ローンの事前審査につなげよう。」
「まずは事前審査を取ってきて。」

しかし、新人営業マンの中には、

「まだ物件も決まっていないのに、お客様に嫌がられないかな。」

そんな疑問を持つ人も少なくありません。

 

確かに、住宅ローンの事前審査は、お客様の個人情報や収入状況をお預かりするため、心理的なハードルがある手続きです。

だからこそ、「会社に言われたから勧める」のではなく、「なぜ最初に行う必要があるのか」を理解しておかなければ、お客様に納得していただくことはできません。

実は、住宅ローンの事前審査は営業会社の都合だけで行うものではありません。お客様が安心して住宅購入を進めるためにも、非常に重要な意味があります。

 

今回は、

  1. 営業マンが事前審査を任せてもらうメリット
  2. 営業マンが事前審査を任せてもらえないデメリット
  3. お客様が事前審査を行うメリット
  4. お客様が事前審査を行わないデメリット

この4つの視点から、「なぜ住宅ローンの事前審査は早い段階で行うべきなのか」を整理していきます。

 

営業マンが事前審査を任せてもらうメリット

まずは営業マン側の視点から考えてみましょう。

住宅ローンの事前審査を自社で任せてもらえると、営業は格段に動きやすくなります。

その理由は、お客様が「買える物件の価格帯が明確になるから」です。

 

例えば、お客様が「4,500万円くらいまでなら検討したい」と話していても、実際にその金額を借りられるとは限りません。

勤務先や年収、勤続年数、既存の借入状況、自己資金などによって、借入可能額は変わります。

逆に、想定よりも借入可能額に余裕があったというケースも珍しくありません。

 

つまり、営業マンの想像だけでは、本当に提案すべき価格帯は分からないのです。

事前審査を行えば、

  • 借入可能額
  • 無理のない予算
  • 月々の返済イメージ

などが具体的に見えてきます。

 

すると、

「この価格帯の中で、一番条件に近い物件をご提案しよう。」

という具体的な提案ができるようになります。

営業マンにとって事前審査とは、契約を急ぐためのものではありません。

お客様に対して、より正確で質の高い提案をするための準備なのです。

 

営業マンが事前審査を任せてもらえないデメリット

反対に、事前審査を任せてもらえない場合はどうでしょうか。

 

実は、営業活動の精度が一気に下がってしまいます。

借入可能額が分からないため、

「この価格帯の物件は紹介していいのだろうか。」

という見えない不安がある状態が続きます。

 

その結果、

お客様は迷い、
営業マンも迷い、

購入できるかどうかも定かでない、”形だけの物件探し”が長引いてしまいます。

 

さらに、お客様が他社で事前審査を進めている場合は注意が必要です。

借入状況や金融機関とのやり取りを把握できないため、営業の主導権を失いやすくなります。

良い物件が見つかっても、

「審査結果がまだ分からないので…」

となれば、すぐに申し込みへ進むことができません。

 

営業マンにとって、事前審査を任せてもらえないことは、

単にローン手続きを担当できないという話ではなく、
提案の精度とスピードを失うことでもあるのです。

 

お客様が事前審査を行う最大のメリット

ここからは、お客様側の視点で考えてみます。

実は、住宅ローンの事前審査で一番メリットを受けるのは、お客様自身です。

メリット1:借りられる金額が明確になる

何より、これが一番です。

住宅購入では、

「いくらの物件が欲しいか」

ではなく、

「いくらまでローンを借りれるのか」
「いくらまでなら無理なく月々返済できるか」

の方が重要です。

事前審査を行えば、金融機関から見た借入可能額が分かります。

すると、予算の基準が明確になります。

メリット2:物件選びが早くなる

予算が決まれば、見るべき物件も自然と絞られてきます。

例えば、

3,500万円までと決まれば、4,800万円の物件を見て悩む必要はありません。

限られた条件の中で比較できるため、判断が圧倒的に早くなります。

メリット3:希望条件に合致する物件を逃しにくくなる

不動産は一点物です。

「もう少し考えます。」

と言っている間に、他のお客様が申し込んでしまうことは珍しくありません。

しかし、事前審査が終わっていれば、気に入った物件が出たその日に申し込みへ進めます。

住宅購入では、決断力だけではなく、準備の早さも重要なのです。

メリット4:売主からの信用も高くなる

売主も、申し込みが来た時点で

「この人は本当に買える人なのか?」

を見ています。

住宅ローンの事前審査が終わっているお客様は、購入できる可能性が高いと判断されるため、交渉が有利になるケースもあります。

つまり、事前審査は銀行のためだけではなく、売主との取引をスムーズに進めるためにも役立ちます。

メリット5:営業マンからより正確な提案を受けられる

営業マンも、借入可能額が分かれば、現実的な提案ができます。

無理な予算を勧めることもなく、逆に「もっと条件の良い物件もご紹介できます。」という提案も可能になります。

 

事前審査は、営業マンを助けるためではありません。

お客様がより良い提案を受けるための準備でもあるのです。

 

お客様が事前審査をしないデメリット

では、反対に事前審査を行わないと何が起きるのでしょうか。

デメリット1:買えるか分からない物件を見続ける

借入可能額が分からないまま物件を探すと、実際には購入できるかどうか分からない物件まで見ている可能性もあります。

広くて、駅に近くて、設備も新しい。
当然、こういった物件は魅力的に見えます。

しかし、実際には、ローン借入額をオーバーする物件だった。

そんなことが後から分かるケースも少なくありません。

その時間は戻ってきません。

デメリット2:判断基準が定まらない

借入可能額が明確でないと、何を基準に物件を見たら良いかが定まりません。

理想を追い求め、高額な物件ばかり見た後では、現実的な価格帯の物件が物足りなく感じてしまいます。

本来であれば十分満足できる物件なのに、比較対象が変わってしまうため、判断そのものが難しくなります。

デメリット3:希望物件を買い逃す可能性が高くなる

気に入った物件が見つかったとしても、そこから事前審査を始めると数日かかります。

その間に、他のお客様に購入で先を越されてしまうこともあります。

住宅購入では、検討中の方に対して物件を確保してくれることは、基本的にありません。

確実に契約できる人に機会が巡ります。
準備ができている人から、購入できる世界です。

デメリット4:想定外の問題が後から見つかる

事前審査をして初めて、

  • 借入希望額が難しかった
  • 勤続年数が影響した
  • 車のローンが影響した
  • クレジット利用状況が影響した

などが分かることもあります。

もし契約直前になってこれが判明すると、
物件選びを最初からやり直すことにもなりかねません。

このようなサイクルが起こり得るからこそ、早い段階で確認しておくことが大切なのです。

 

「まだ買うか分からないので、事前審査はまだいいです」は本当に正しいのか?

営業をしていると、お客様からこんな言葉をいただくことがあります。

「まだ見るだけなので。」
「気に入った物件があれば考えます。」
「まだ買うかどうか決めていません。」
「事前審査は決めてからでいいですよね。」

新人営業マンの多くは、この言葉を聞くと、

「そうですよね…」

と受け入れてしまいます。

 

しかし、その瞬間に一度立ち止まって考えてみてください。

そもそも、「住宅を購入する!」と最初から100%決めている人は、実はほとんどいません。

 

ほとんどのお客様は、

「良い物件があれば購入したい。」

という状態で来店・問い合わせ・物件見学されています。

 

つまり、

“買うかどうか”ではなく、”買える物件に出会えるかどうか”を探しに来ているのです。

ここを勘違いすると、営業の進め方が変わってしまいます。

 

事前審査を嫌がる理由は

事前審査を嫌がるお客様がいる場合、その理由はとてもシンプルです。

事前審査をすると、

「もう買わなければいけないのか。」
「もう後戻りできなくなる。」
「契約みたいなものなんじゃないか。」

こんなイメージや不安を抱えている方も少なくありません。

その不安を直接表現せずに
「まだ、買う気はないので…」
などと、言葉を濁して事前審査を避けるのです。 

 

もちろん、
営業マンの言葉にご信頼いただけていないということもありますが、
その場合は、事前審査の前に見直すべき所があるでしょう。

 

いずれにせよ、実際に住宅ローンの事前審査は、お客様の物件購入を約束する手続きではありません。

今の収入や借入状況で、どのくらいの資金計画が現実的なのかを確認するための作業です。

言い換えれば、旅行へ行く前に予算を決めることや、
住宅をリフォームする前に見積もりを取ること、
と本質は変わりません。

買うことを決めるためではなく、判断材料を集めるための準備なのです。

 

住宅購入では、

「物件を見る」ことと「購入できる準備をする」ことは、本来同時に進めるべきもの

ということを、営業マンが理解しておかなければいけません。

 

現実には、物件だけを見続けて、
資金面の確認を後回しにするお客様が少なくありません。

いずれにせよ住宅購入を検討されているとするならば、
家族全員が気に入り、

「これにしたい。」

となる日が、近からず遠からず、来るはずです。

そして、その日になって初めて事前審査を始める。

しかし、同じタイミングで他のお客様が申し込みを入れ、物件が売れてしまう・・・

 

この流れは、不動産業界では決して珍しい話ではありません。

実際、多くの現場では「先に資金準備を済ませていた買主」が購入機会を得ています。売主も融資の見込みがある買主を評価するためです。 

 

買い逃しは防げる

さらに、もっと重要なことがあります。

仮に同じタイミングで他のお客様が申し込みを入れ、物件が売れてしまったとします。

 

その時に、お客様本人は、

「事前審査を後回しにしたから物件を逃した」

とは考えません。

多くの場合、

「縁がなかった。」
「タイミングが悪かった。」
「人気物件だったから仕方ない。」

そう受け止めます。

 

しかし営業マンから見ると、本当の原因は違います。

準備が間に合わなかった。

それだけなのです。

つまり、物件を逃した原因は、物件ではなく、準備の順番にあった可能性があります。

 

不動産売買仲介の営業マンは、この”未来”まで想像しなければいけません。

 

でも目の前のお客様は、まだその未来を知りません。

だから、

「審査はまだ早いです。」

などと言います。

 

しかし、この未来が起こり得ることを知ってる営業マンは、
これまで何十組、何百組というお客様を見てきた経験の中で、
同じ失敗を繰り返してほしくないと思っているはずです。

 

だから事前審査を勧めるのです。

 

契約を急ぎたいからではありません。
ローンを通したいからでもありません。

「良い物件に出会ったその瞬間に、お客様が迷わず行動できる状態をつくっておきたい。」

そのための事前審査なのです。

 

だから新人営業マンには、「事前審査を取ること」を目的にしないでほしいと思います。

本当に目指すべきなのは、

お客様が”買える状態”を先につくること。

そのための手段の一つが、住宅ローンの事前審査なのです。

 

最後に

住宅ローンの事前審査というと、

「営業マンが契約を急ぐために行うもの。」

というイメージを持たれることがあります。

 

しかし、実際はその逆です。

事前審査は、

お客様が安心して住宅購入を進めるための準備であり、
営業マンがより正確で現実的な提案を行うための土台でもあります。

営業側のメリットだけを見れば、
「提案しやすくなる」「契約までスムーズに進められる」
という話になります。

 

一方で、お客様側から見れば、

「買えない物件に時間を使わない」
「気に入った物件を逃さない」
「無理のない資金計画で安心して判断できる」


という大きなメリットがあります。

 

だからこそ、
新人営業マンには「会社に言われたから事前審査を勧める」のではなく、その目的まで理解した上で、お客様へ自信を持って説明できる営業マンになってほしいと思います。

住宅購入を前向きに考えているお客様であれば、

できるだけ早い段階で情報をお預かりし、
事前審査を進めておくことは、

お客様にとっても営業マンにとっても、最も合理的な進め方なのです。

この記事の著者

関根 祐太

株式会社Re-Branding 代表取締役
不動産 売買仲介営業 専門/研修講師
 
不動産をはじめ10業種以上の営業現場経験を経て、2023年に株式会社Re-Brandingを設立。1on1などを通して社員一人ひとりの本音や課題に向き合い、組織力を強化する支援を行う。離職率40%削減や売上140%向上といった成果を創出。
 
【専門分野】
不動産売買仲介/離職防止と組織力強化/営業プロセス改善
  
「一人ひとりの本音に向き合い、課題の本質を共に探り、解決へ導く」ことを信条に、企業の未来を共に形作るパートナーとして活動中。

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