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買付とは何か?購入申込書を書く前に、新人営業マンが必ず理解しておくべきこと【不動産売買 仲介営業】

#不動産仲介#営業

不動産売買仲介の現場では、

「買付を入れる」
「購入申込書を書いてもらう」

という言葉がよく出てきます。

新人営業マンの中には、

「お客様がこの物件を気に入っているなら、とりあえず買付を書いた方がいい」
「買付を入れれば、物件を押さえられる」

そんなふうに理解している人もいるかもしれません。

でも、ここはかなり注意が必要です。

買付、つまり購入申込書は、売買契約そのものではありません。
法的拘束力も、基本的にはありません。

しかし、だからといって軽い書類ではありません。

むしろ、不動産売買仲介の現場においては、非常に重みのある意思表示です。

今回は、不動産購入における「買付」とは何なのか。
購入申込書を書く前に、営業マンが何を理解しておくべきなのか。
そして、購入希望価格や契約希望日をどう考えるべきなのか。

新人営業マンにも分かるように、整理していきたいと思います。


買付とは何か

まず、買付とは何か。

一般的には、

「この物件を購入したいです」

という買主側の意思表示です。

「購入申込書」
「買付証明書」
「不動産購入申込書」

などと呼ばれることがあります。

書式は会社や業者によって多少違いますが、基本的には、

・どの物件を買いたいのか
・いくらで買いたいのか
・いつ契約したいのか
・住宅ローンを使うのか
・事前審査は済んでいるのか
・自己資金はいくらあるのか
・年収はいくらくらいなのか
・その他、希望条件はあるのか

こういった内容を記載します。

つまり、買付とは、

「この条件で、この物件を購入したいです」

という意思表示です。

ただし、ここで大事なのは、「買付は売買契約ではない」ということです。

売買契約は、売主様と買主様が売買契約書に署名・押印し、重要事項説明を受け、契約条件に合意して初めて成立していきます。

一方で、買付はその手前の段階です。

分かりやすく言うなら、

買付は“契約したいです”という申し込みであり、契約そのものではありません。


買付は、結婚でいう「プロポーズ」に近い

ここは、結婚で考えると分かりやすいかもしれません。

結婚という行為を形式的に見れば、婚姻届を書いて、双方が署名して、証人にも署名してもらい、役所に提出し、受理されることで成立します。

つまり、婚姻届が受理された段階で、戸籍上は夫婦になる。

これが、不動産でいうところの売買契約に近いイメージです。

では、その手前に何があるか。
多くの場合、プロポーズがあります。

「あなたと結婚したいです!」
「一生一緒にいたいです!」
「僕と結婚してください!」

これがプロポーズです。

まだ婚姻届を出しているわけではありません。
まだ法的に夫婦になったわけでもありません。

でも、相手に対して、

「あなたと結婚したい」

という明確な意思表示をしている。

不動産購入における買付も、これに近いと思っています。

「この物件を買いたいです!」
「この家に住みたいです!」
「この物件で契約させてください!」

という意思表示です。

つまり、買付は不動産購入におけるプロポーズのようなものです。


プロポーズに法的拘束力はない。でも軽くはない

プロポーズには、基本的に法的拘束力はありません。

Aさんにプロポーズされたからといって、必ず結婚しなければいけないわけではありません。

逆に、Aさんにプロポーズした後に、Bさんにもプロポーズすることがあったとしても、それ自体が、ただちに法律違反になるわけでもないでしょう。
(あくまで日本国内での一般的な話です)

でも、普通に考えてどうでしょうか。

目の前の相手が、自分にプロポーズしてくれた。

「あなたと結婚したい」と言ってくれた。

その後で、

「実は他の人にもプロポーズしています」
「何人かにプロポーズして、反応を見ています」
「一番条件が良さそうな人と結婚しようと思っています」

と言われたら、どう感じるでしょうか。
普通は、受け入れがたいと思います。

「それはどういうつもりなの?」
「本気じゃなかったの?」
「自分は比較対象の一人だったの?」

そう感じるはずです。
買付も同じです。

法的拘束力がないからといって、同時に複数の物件へ軽く買付を出していいわけではありません。

もちろん、投資家のように複数物件を同時購入できる資金力があり、最初からその前提で、全部を買う気でいるような場合なら話は別です。

でも、一般的な住宅購入のお客様は、基本的には1つの物件を購入します。
家を3つも4つも同時に買うわけではありません。

であれば、

「この物件を買いたいです」

という買付は、本来かなり重い意思表示です。

あっちの物件にも買付。
こっちの物件にも買付。
反応が良かった方で契約。

これは、住宅購入の現場では基本的にやるべきではありません。


買付は「気持ちが固まった後」に出すもの

買付を書く段階では、お客様の中で、

「この物件を購入したい」

という気持ちが固まっている必要があります。

まだ迷っている。
他の物件も気になる。
家族に相談していない。
住宅ローンの見通しも立っていない。
本当にこの物件でいいか分からない。

この状態で買付を出すのは危険です。
プロポーズで考えてみてください。

「結婚したい気もするけど、まだ他の人も気になる」
「相手のことは好きだけど、本当に結婚するかは分からない」
「とりあえずプロポーズして、相手の反応を見たい」

普通は、そんな状態でプロポーズしないはずです。
買付も同じです。

買付とは、

「この物件を契約したいです」

という意思表示です。

だからこそ、営業マンは、お客様の気持ちがふわふわしている段階で、安易に買付を書かせてはいけません。


買付をキャンセルすると、信用問題になる

買付には法的拘束力はありません。
究極、キャンセルは出来ます。

ただし、ビジネス上の信用は別問題です。

買付が売主側に届くと、売主様や売主側業者の動きが変わる可能性があります。

たとえば、購入申込が1件入った場合、売主側では、

「この方と契約に向かう可能性がある」
「契約日はいつになりそうか」
「この条件で進めてよいか」
「他の見学希望をどう扱うか」

という判断が発生します。

物件の広告掲載を止める場合もあります。
他者からの案内希望を断る可能性もあります。
他のお客様への案内を一時的に止める場合もあります。

少なくとも、売主側業者の中では、その物件の扱い方が変わります。
これは、プロポーズされた人が、その相手を意識し始めるのと近いです。

もし、ある人から真剣にプロポーズされたら、他の異性との食事やデートの見え方は変わるでしょう。
親や親友などに報告したりもするでしょう。
親への挨拶はいつにしようなどとも考えるでしょう。

「この人は自分と結婚したいと思ってくれているんだ」

と分かった瞬間、相手の中で優先順位や判断が変わる。
不動産でも同じです。

買付が入ると、売主側の動きが変わる。

にもかかわらず、その後に、

「やっぱりやめます」
「他の物件にします」
「家族に反対されたのでキャンセルします」
「まだ迷っていたので取り下げます」

となると、売主側からすれば、

「では、あの買付は何だったのか?」

となります。

百歩譲って、1回であれば様々な事情を考慮して受け止めてもらえることもあるでしょう。

でも、それが何度も続けばどうなるか。

「あの会社から来る買付は信用できない」
「あの営業マンの買付はキャンセルになる可能性が高い」
「どうせまた流れるのではないか」

と思われます。

これは、非常に大きな問題です。

不動産仲介の仕事は、業者間の信用で成り立っている部分もあります。

こちらが売主側業者から信用されなくなれば、今後の取引にも影響します。

場合によっては、同じ条件の買付が入ったときに、他社を優先される可能性もあります。

つまり、買付のキャンセルは、お客様一人の問題だけでは終わりません。

営業マン個人の信用。
会社の信用。
業者間の信用。

そこに関わってくる話なのです。


「法的拘束力がない」と「軽く扱っていい」は違う

ここを、新人営業マンは必ず理解しておく必要があります。

買付には、基本的に法的拘束力はありません。

しかし、

法的拘束力がないことと、軽く扱っていいことは全く別です。

むしろ、法的拘束力がないからこそ、信用が大事になります。

契約書のように法律で縛られていないからこそ、

「この人は本気で申し込んでいるのか」
「この会社の買付は信用できるのか」
「この営業マンはきちんとお客様の意思確認をしているのか」

が見られます。

つまり、購入申込書とは、

法的拘束力はないが、ビジネス上の信用を背負った重い一枚

です。

ここを軽く考えてしまうと、現場で大きなトラブルにつながります。


買付に書く主な内容

では、購入申込書にはどんな内容を書くのか。

書式によって多少違いはありますが、主に以下のような項目があります。

・購入希望価格
・契約希望日
・手付金の額
・融資利用の有無
・住宅ローン事前審査の状況
・年収
・勤務先
・自己資金
・引渡し希望日
・その他条件

今回は特に重要な、

  • 購入希望価格
  • 契約希望日
  • 住宅ローン事前審査の有無

について整理します。


購入希望価格とは何か

購入希望価格とは、

「この価格で購入したいです」

という金額です。

たとえば、4,000万円で売りに出ている物件があるとします。

この物件に対して、

  • 4,000万円で買いたい
  • 3,950万円で買いたい
  • 3,900万円で買いたい
  • 3,800万円で買いたい

と希望を出すこと自体は可能です。

売出価格より安い金額で申し込むこともできます。

ただし、ここで重要なのは、

希望を書くことはできるが、売主様が飲むかどうかは別問題

ということです。

新人営業マンの中には、

「とりあえず指値してみましょう」
「少し安く書いてみましょう」
「通ればラッキーです」

という感覚で考えてしまう人もいます。

でも、これはかなり危険です。

なぜなら、売主様には売主様の事情があるからです。

売主様は、基本的にはできるだけ高く売りたい。

売出価格には、相場や売主様の希望、残債、販売戦略などが反映されています。

4,000万円で売れる可能性がある物件を、簡単に3,800万円や3,900万円に下げるとは限りません。


値下げ希望には、必ずリスクがある

もちろん、値下げ希望が通るケースもあります。

たとえば、

・長期間売れ残っている
・売主様が早く手放したい
・すでに価格改定を検討している
・物件に明確な弱点がある
・現金購入など条件が強い
・契約日が早い
・ローンの見通しが明確

こういう場合には、売主様が値下げを受け入れる可能性もあります。

ただし、あくまで可能性です。

値下げ希望を出した場合、最も注意すべきなのは、満額の買付が入ってきたときです。

たとえば、あなたのお客様が3,900万円で買付を出した。
その後、別のお客様が4,000万円満額で買付を出した。

この場合、売主様がどちらを選ぶか。

基本的には、満額の方を優先する可能性が高いです。

もちろん、契約日やローン状況、買主の属性などによって総合判断にはなります。

ただ、価格だけ見れば、売主様にとって満額の方が有利です。

つまり、値下げ希望を出すということは、

価格交渉をする代わりに、他の買主に取られるリスクを背負う

ということです。

ここをお客様に伝えずに、安易に指値を出してはいけません。


値下げ希望を出すなら、事前に伝えるべきこと

お客様が、

「少し安くならないですか?」
「100万円くらい交渉できませんか?」
「満額ではなく、少し下げて申し込みたいです」

と言った場合、営業マンはそのまま受けてはいけません。

必ず、前提を説明する必要があります。

たとえば、こうです。

「もちろん、希望価格を下げて申し込むこと自体はできます。ただし、売主様がその金額を受けるかどうかは別です。特に人気物件の場合、満額で申し込む方が出てくると、そちらを優先される可能性があります。なので、価格交渉をする場合は、その分この物件を他の方に取られるリスクもある、という前提で考えていただく必要があります」

この説明が必要です。

値下げできるかどうかだけを話すのではありません。
値下げ交渉によって失う可能性があるものも伝える。

それがお客様に対する正しい説明です。

営業マンにとって大事なのは、安く買わせることだけではありません。

お客様が本当に欲しい物件を、失わないようにすることも大事です。


満額で申し込むことの意味

一方で、満額で申し込むことには意味があります。

売出価格4,000万円の物件に対して、4,000万円で買付を出す。

これは売主様からすると分かりやすいです。

「この買主は、こちらの価格条件を受け入れている」

ということになります。

特に人気物件や、出たばかりの物件では、満額で申し込むことが強い意思表示になります。

もちろん、満額で申し込めば必ず買えるわけではありません。

他にも、

・契約希望日
・ローン審査状況
・手付金の額
・融資特約
・引渡し条件
・買主様の属性
・売主様の希望

などが影響します。

ただし、少なくとも価格面では売主様にとって受け入れやすい条件になります。

だからこそ営業マンは、

「少しでも安く買えれば良い」

だけで考えてはいけません。

その物件を本当に欲しいなら、満額で申し込むことが結果的に一番強い選択になる場合もあります


契約希望日は、なぜ重要なのか

次に、契約希望日です。

購入申込書には、

「いつ契約したいか」

を記載する欄があります。
ここを軽く考えてはいけません。

不動産売買では、基本的に、

早く契約できる人が強い

です。
なぜなら、不動産は世界に一つしかない商品だからです。

売主様からすれば、

「買いたいです」と言っている人がいても、契約まで時間が空けば空くほど不安が増えます。

時間が空くと、何が起きるか分かりません。

・買主様の気持ちが変わる
・家族に反対される
・ローンで問題が出る
・他の物件に心変わりする
・金利が変わる
・市況が変わる
・売主様側の事情が変わる

いろいろな不確定要素があります。

だから売主様としては、できるだけ早く契約したい。

これは当然です。


契約希望日が遅いと、他の買主に取られる

たとえば、7月1日に買付を出したとします。

でも契約希望日が7月31日だったらどうでしょうか。

買付から契約まで1ヶ月空いています。

その間に、別の買主が現れて、

「7月3日に契約できます」
「事前審査も通っています」
「満額で申し込みます」

と言ったらどうなるか。

売主側は、そちらを優先する可能性が高いです。

なぜなら、契約までの期間が短い方が、売主様にとってリスクが少ないからです。

プロポーズで考えても同じようなことです。

「結婚したいです。でも婚姻届を出すのは1年後でお願いします。その間に、君が本当に最適なパートナーかを見極めたいので。」

などと言っている1年の間に、

「私はあなたとすぐにでも結婚したいです!心の準備もお金の準備もできています。」

という人が現れたら、相手の判断が揺れる可能性はあります。

不動産では、なおさらです。

金額が大きく、唯一無二の商品で、他の買主も存在する可能性があるからです。

だからこそ、契約希望日はできる限り最短で設定する必要があります。


「最短で契約したい」という意思表示が大事

もちろん、契約日は買主側だけで決められるものではありません。

売主様の都合もあります。
売主側業者の都合もあります。
重要事項説明書や売買契約書の準備もあります。
物件調査も必要です。
住宅ローンの状況も関係します。

だから、買主が希望した日で必ず契約できるとは限りません。

ただし、購入申込書に書く契約希望日は、

「この買主はどのくらい本気で、どのくらい早く契約に進める人なのか」

を示す材料になります。

つまり、

「私はこの物件を本気で購入したいので、最短で契約に進みたいです」

という意思表示です。

ここが弱いと、売主側から見て不安になります。

「本当に買う気があるのか」
「まだ迷っているのではないか」
「契約まで時間が空くなら、他の買主を待った方がいいのではないか」

と思われる可能性があります。

だから、

契約希望日はできる限り最短で設定する

これが基本です。


契約希望日は平日が理想

さらに実務上の話をすると、契約希望日は平日に設定できると理想です。

理由はシンプルです。

土日は、営業マンにとって案内が集中する日だからです。

土日に契約を入れると、その時間に案内ができなくなります。

もちろん、契約は非常に重要です。

契約を優先する場面も当然あります。

ただ、土日の昼間に契約を入れると、他のお客様の案内機会を減らす可能性があります。

案内は、次の契約の源泉です。

だから、可能であれば契約は平日に設定する

難しい場合は、土日の夜にするなど、案内機会をなるべく潰さない形を考える。

これは営業マン側の実務上の工夫です。
もちろん、お客様の都合が最優先です。

売主様、買主様、売主側業者、自社のスケジュールが合うことが前提です。

その上で、

  • 最短であること
  • できれば平日であること
  • 土日なら案内時間を大きく潰さないこと

このあたりを意識して契約希望日を考える必要があります。


事前審査が済んでいるかどうかは、売主側の安心材料になる

購入申込書には、住宅ローンの事前審査状況を書く欄があります。

これは非常に重要です。

なぜなら、売主側からすると、

「この買主は本当に買える人なのか」

が気になるからです。

不動産購入では、多くのお客様が住宅ローンを利用します。

つまり、買主様がどれだけ物件を気に入っていても、住宅ローンが通らなければ購入できません。

だから、売主側からすると、

・事前審査が済んでいるのか
・承認済みなのか
・どこの金融機関なのか
・借入希望額はいくらなのか
・自己資金はいくらあるのか
・年収はいくらなのか

こういった情報が気になります。

もし、事前審査が済んでいる買主と、まだ何もしていない買主がいたらどうでしょうか。

条件が同じなら、事前審査済みの買主の方が安心です。

さらに、現金購入の買主が現れたらどうでしょうか。

住宅ローンの審査リスクがない分、そちらを優先される可能性もあります。

つまり、買付を出す段階で、住宅ローンの見通しがあるかどうかは、非常に大きな判断材料になります。


年収や自己資金を書く意味

購入申込書には、年収や自己資金を書く欄があることもあります。

なぜそんなことを書くのか。

それは、売主側が、

「この買主は住宅ローンを通せる可能性が高いのか」

を判断する材料にするためです。

たとえば、5,000万円の物件に対して買付が入った。

でも、年収や自己資金、事前審査状況が全く分からない。

これでは売主側も不安です。

一方で、

  • 年収がある程度ある
  • 勤続年数も問題ない
  • 自己資金もある
  • 事前審査も通っている

という情報があれば、売主側は安心しやすくなります。

もちろん、個人情報の扱いには注意が必要です。

しかし、購入申込の段階では、売主側が買主の購入可能性を判断するために、一定の情報が必要になります。

だからこそ、営業マンは事前にお客様へ説明しておく必要があります。

「なぜ年収を書く必要があるのか」
「なぜ事前審査状況を伝える必要があるのか」
「なぜ自己資金を書くのか」

これを説明できないまま、ただ書かせようとすると、お客様は不安になります。


買付は「売主側に判断してもらうための書類」

買付は、ただの申し込み用紙ではありません。

売主側にとっては、

「この買主に売ってよいか」

を判断するための材料です。

売主様は、購入申込書を見て、

  • 価格はどうか
  • 契約日はいつか
  • ローンは通りそうか
  • 手付金はどのくらいか
  • 条件はあるか
  • 本気度は高いか
  • 他の買主と比べてどうか

を見ています。

つまり、買付とは、

買主側の意思表示であると同時に、売主側に選んでもらうための書類

でもあります。

だから、適当に書いてはいけません。

価格、契約日、ローン状況、条件。

すべてが判断材料になります。


買付を出す前に営業マンが確認すべきこと

営業マンは、買付を書く前に、必ず確認すべきことがあります。

まず、お客様の意思です。

本当にこの物件を購入したいのか。
他の物件と比較した上で、この物件なのか。
家族の意見は揃っているのか。
購入後の生活イメージはできているのか。

次に、資金面です。

予算は問題ないのか。
月々の支払いは無理がないのか。
住宅ローンの見通しはあるのか。
自己資金はどうするのか。
諸費用は理解しているのか。

さらに、条件面です。

契約日はいつなら可能か。
手付金はいくら用意できるか。
引渡し時期に希望はあるか。
契約に際して条件などはあるか。

その他、売主側に伝えるべき条件はあるか。

こうした確認が曖昧なまま買付を出すと、後でトラブルになります。


「とりあえず買付」は危険

現場では、ときどき、

「とりあえず買付を入れておきましょう」
「押さえるために買付だけ出しましょう」
「あとで考えればいいので、まず出しましょう」

という発想が出ることがあります。
もちろん、スピードが必要な場面はあります。

人気物件であれば、迷っている間に他の人に取られてしまうこともあります。

ただし、だからといって、気持ちが固まっていないお客様に買付を書かせるのは危険です。

買付は、検討するためのチケットではありません。
買付は、契約に進むための意思表示です。

ここを間違えると、

「申し込んだけど、やっぱりやめます」
「家族に話したら反対されました」
「ローンが不安なのでやめます」
「他の物件の方が良くなりました」

ということが起こります。

これは、お客様にとっても、営業マンにとっても、会社にとっても、売主側にとっても良くありません。


買付の前に、迷いを整理するのが営業マンの仕事

お客様が迷っていること自体は悪いことではありません。

不動産購入は大きな決断です。

迷うのは当然です。

だからこそ、営業マンの役割は、買付を急がせることではありません。

お客様の迷いを整理することです。

たとえば、

「この物件で迷っているポイントはどこですか?」
「他の物件と比べて、何が引っかかっていますか?」
「仮にこの物件を見送った場合、次に同じ条件の物件が出る可能性をどう考えますか?」
「価格が不安なのか、場所が不安なのか、間取りが不安なのか、どこが一番大きいですか?」
「ご家族の中で、まだ確認できていないことはありますか?」

こうやって整理する。

その結果、

「やっぱりこの物件がいい」

となれば買付に進む。

逆に、

「まだ気持ちが固まっていない」
「家族確認が必要」
「ローンの見通しがない」
「他の物件も見たい」

となれば、買付はまだ早い。

買付は、営業マンが取りにいくものではあります。

でもそれ以上に、お客様の意思決定が固まった後に出すものです。


買付を出す前に、お客様へ伝えるべきこと

買付を書く前には、お客様に必ず伝えておきたいことがあります。

それは、

「この書類には法的拘束力はありませんが、売主様側に対して、この物件を購入したいという正式な意思表示になります」

ということです。

そして、

「申込後は、基本的には契約に向けて進める前提になります」

ということも伝える必要があります。

さらに、

「もし迷いがある状態で申し込んで、後からキャンセルになると、売主様側にもご迷惑がかかりますし、今後の取引上の信用にも関わるため、本当にこの物件で進めたいかを確認した上で書きましょう」

と説明する。

これを伝えるだけで、お客様の意識も変わります。

ただの紙ではない。
とりあえず出すものではない。

この認識を持ってもらうことが重要です。


営業マン自身も、買付の重みを理解しておく

買付は、お客様が書くものです。

でも、その買付を売主側へ提出するのは営業マンです。

つまり営業マンは、お客様の意思表示を背負って先方に届ける立場です。

だからこそ、営業マン自身が買付の重みを理解していないといけません。

軽い気持ちで買付を出す営業マンは、売主側業者から信用されません。

「この営業マンは、お客様の意思確認が甘い」
「この会社の買付は流れる」
「またキャンセルになるのではないか」

そう思われると、今後の仕事がやりにくくなります。

不動産仲介は、目の前のお客様だけで完結する仕事ではありません。

・売主様
・売主側業者
・金融機関
・司法書士
・管理会社
・リフォーム会社

さまざまな関係者がいます。

その中で信用を積み上げていくことが大切です。

買付の扱い方ひとつにも、その営業マンの仕事の質が出ます。


買付は、契約への入口である

買付を出したら、次は契約に向けて進んでいきます。

つまり買付は、ゴールではありません。

契約への入口です。

買付を出して終わりではなく、そこから、

  • 売主側との条件調整
  • 契約日の確定
  • 重要事項説明書の準備
  • 売買契約書の確認
  • 住宅ローン手続き
  • 手付金準備
  • 必要書類準備
  • お客様への説明
  • スケジュール管理

が始まります。

だから、買付を取ることだけを目的にしてはいけません。

買付後に契約へ進める状態を作っておくことが大事です。

「買付は取れたけど、契約日が決まらない」
「買付は出したけど、ローンが進んでいない」
「買付は入れたけど、家族が反対している」
「買付は出したけど、条件が詰まっていない」

これでは意味がありません。

買付は、契約に進む前提で出すものです。


新人営業マンが特に注意すべきこと

新人営業マンは、買付が取れると嬉しくなります。

それは当然です。
初めての買付。
初めての契約目前。

営業として、一つ大きく前進した感覚があると思います。

ただし、ここで浮かれてはいけません。

買付は、まだ契約ではありません。

買付が入った後の方が、むしろ慎重さが必要です。

特に注意すべきなのは、

  • お客様の意思確認が甘くないか
  • 家族確認は済んでいるか
  • 住宅ローンの見通しはあるか
  • 契約日を最短で設定できているか
  • 購入希望価格のリスクを説明しているか
  • 売主側に伝える条件に漏れはないか
  • キャンセルになりそうな不安要素はないか

です。

ここを押さえずに買付を出してしまうと、後で苦しくなります。

買付は勢いだけで取るものではありません。

確認すべきことを確認した上で、契約に向けて進めるための意思表示です。


買付で大事なのは「本気度」と「条件の強さ」

売主側から見たとき、買付で見られるのは大きく2つです。

1つ目は、本気度。

本当にこの物件を買う気があるのか
迷っていないか
契約に進める状態か
キャンセルにならないか

2つ目は、条件の強さ。

価格はいくらか
契約日は早いか
ローンは問題ないか
手付金はどうか
条件はシンプルか

この2つが強い買付は、売主側から見ても安心です。

逆に、

  • 価格は低い
  • 契約日は遅い
  • ローンは未審査
  • 条件が多い
  • お客様の意思も曖昧

となると、売主側は不安になります。

だから営業マンは、ただ買付を書いてもらうだけではなく、

「売主側から見て、この買付はどう見えるか」

まで考える必要があります。


最後に

買付とは、ただの申込書ではありません。

売買契約そのものではない。
法的拘束力も基本的にはない。

でも、不動産購入における非常に重要な意思表示です。

結婚で言えば、プロポーズに近い。

「この物件を買いたいです」
「この条件で契約したいです」
「この物件で前に進みたいです」

という意思表示です。

だから、軽く出してはいけません。
同時に複数出すものでもありません。
迷っている状態で出すものでもありません。
出した後に簡単にキャンセルしていいものでもありません。

買付を出すことで、売主様や売主側業者の動きが変わります。
他の案内を止めることもあります。
物件掲載の扱いが変わることもあります。
契約準備に入ることもあります。

だからこそ、後からキャンセルになれば、信用問題になります。

新人営業マンに覚えておいてほしいのは、

買付は、法的拘束力はなくても、信用を背負った重い一枚である

ということです。

その上で、

・購入希望価格にはリスクがある
・値下げ希望は他の買主に取られる可能性がある
・契約希望日はできる限り最短が基本
・事前審査済みかどうかは売主側の安心材料になる
・年収や自己資金は購入可能性の判断材料になる
・お客様の意思が固まっていない段階で出してはいけない

このあたりを理解しておく必要があります。

買付は、営業マンにとって嬉しい瞬間です。

でも同時に、責任が発生する瞬間でもあります。

お客様の意思を背負い、会社の信用を背負い、売主側との取引に入っていく。

その重みを理解した上で、現場に出てほしいと思います。

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