不動産売買仲介の営業を始めたばかりの人から、よくこんな相談を受けます。
「何を聞けばいいかわからない」
「質問しても会話が浅く終わってしまう」
「お客様の本音が見えてこない」
「深掘りしようとすると嫌われそうで怖い」
でも実際、
ヒアリングが苦手な人には、
似ている共通点があります。
そして多くの場合、
“営業の才能がない”
わけではありません。
単純に、
- やったことがない
- 考え方を知らない
- 習慣化されていない
だけなんです。
今回の記事では、不動産売買仲介営業における「ヒアリング」
その上手くいかない原因・共通点ついて、解説していきます。
そもそも、なぜヒアリングが重要なのか
何度も言いますが
不動産売買仲介の営業は、
「物件説明の仕事」「物件を紹介する仕事」
ではありません。
お客様が、
- なぜ家を買いたいのか
- 何を不安に感じているのか
- 何を優先したいのか
- どこで迷っているのか
を整理する仕事です。
物件資料を沢山印刷して、
一生懸命に物件を紹介しても、
話は前に進みません。
つまり、
「ヒアリング」が浅いと、
お客様の判断整理ができず、
何も前に進まないのがこの仕事です。
その結果、
- 比較だけされる
- 他社に流れる
- 決断できない
こういう状態になります。
だから、「モノを売る」のような営業力以前に、
まず「聞く力」が、圧倒的に重要なんです。

でも、ただ「話を聞く」にも、いろいろあります。
今回は、
「話を聞くのは分かってるけど、どうしたらいいか分からない」
という人に向けて
少し、別な角度からその原因を深掘りします。
ヒアリング下手の原因①
普段から“深掘りする習慣”がない
実は、この原因は大多数の営業マンに当てはまります。
営業未経験の人ほど、
「ヒアリングが苦手です」
と言います。
でも、よく考えると、それは当然なんです。
なぜなら、
今までの人生で、
“相手の話を深掘りする習慣”
を持ってこなかったからです。
例えば日常会話で、
「なんでそう思ったの?」
「それってどういう意味?」
「他の選択肢は?」
「本当はどうしたいの?」
ここまで踏み込んで聞く人は、
実はかなり少ない。
友人との食事中に
相手に対してここまで根掘り葉掘り聞いたことがある人も
聞かれた経験がある人も少ないでしょう。
仲の良い友人関係ですら、そうなのです。
つまり、
ヒアリングができないのは、
そもそも
“能力不足”
の問題ではなく、
“経験不足”
なのです。

ヒアリングは「技術」より先に「習慣」
柔道整復師にとっては、
「己の手(触診・手技)」と「解剖学(知識)」
カメラマンにとっては、
「カメラ(機材)」と「編集ソフト」
では、不動産売買仲介の営業マンにとっての武器は、何か?
「会話(言葉)」「コミュニケーション」と「不動産知識」
意外にありません。
その中で、
こと「会話」「コミュニケーション」に関して
24時間、同じ「会話」というものを通して生活していても
多くの人は、
質問すること
↓
深掘りすること
↓
相手の価値観を探ること
に慣れていません。
というか、そんなことを意識することもないでしょう。

だから最初は、
質問するだけでも、やったことがないので緊張します。
でも、
これは営業だけに限った話ではません。
例えば、
- 自転車
- 車の運転
- 人前で話すこと
誰でも最初は怖かったと思います。
転んだと思いますし、手や額に変な汗をかいたと思います。
でも、
やった回数が増えると、
無意識でできるようになり、
その緊張は消えていきます。
営業におけるヒアリングも同じです。
日常の中で、普段から、
「なぜ?」「どうして?」
「こっちはどうなの?」
と聞く習慣を持たない限り、
ヒアリング力は上がらない。
普段から、武器を磨いておく必要があるのは、
どの世界でも一緒です。
柔道整復師は、己の手の感覚と常に向き合い、
カメラマンは、日々、
撮影の構図やライトの当て方を研究する
だけど、営業マンの武器である「会話」は
24時間使っているけれども、
その武器を普段から磨くことができるということを
忘れがち。
公私問わず、あらゆる場面において、
「何を聞くか」「どう聞くか」
「聞いた後のリアクションはどうするか」
を試行錯誤するのが
営業マンにおける
「武器を磨く」
と言えるでしょう。

ヒアリング下手の原因②
勝手に“解釈”してしまう
例えば、
「佐藤様は錦糸町が良いんだと“思います”」
「明日には返答が来ると“思います”」
上司に、こういう報告をする営業マンがいます。
一見、問題なさそうに見えます。
でも、
実はこれ、
かなり危険なんです。
なぜなら、
これはお客様が述べた“事実”ではなく、
営業マン側の“解釈”の可能性が高いからです。
「事実」と「解釈」を区別できているか
例えば、
「錦糸町が良いんだと思います」
と言われたら、
- 新小岩は?
- 都営新宿線沿いはダメなの?
- 他の区の可能性は?
という疑問が出てきます。
つまり、
まだ確定していないんです。
にもかかわらず、
営業マン側が、
「お客様が言うんだから、多分こうなのだろう」
と決めつけてしまう。
これは営業マン側の解釈にすぎません。
これが、ヒアリングが浅くなる原因として、かなり多いのです。

売れない営業マンほど「思います」が多い
無意識に使っている人は、今日から改めることをオススメします。
売れない営業マンほど、
- 〜だと思います
- 〜な気がします
- 〜かもしれません
と言う言葉の語尾が増えます。
これは不確定な要素を含んだ言葉の言い回しです。
なぜそうなるかかというと、
事実確認が浅いからです。
事実確認が浅いから、
断定、確定したこととして報告できない。
結果、曖昧な表現に終始します。
逆に、
売れる営業マンは、
「佐藤様は錦糸町駅、一択です!」
「明日10時までに、返答が来ます!」
と言い切れる。
なぜなら、
その理由や背景を確認し切っているからです。
確認し、相違なく、確定できているから、
言葉を濁す必要もありません。
つまり、
ヒアリングとは、
“曖昧を減らしていく作業”
とも言えます。
もし、普段から曖昧な言葉で終わらしている場合、
断言できない場合、言い切れない場合、
何か確認や深掘りが漏れている証拠です。

自分の語尾を、振り返ってみましょう。
ヒアリング下手の原因③
「嫌われるかも」と怖がる
そして、もっとも多い原因とも入れるのがこれです。
「これ以上聞いたら嫌われそう」
「踏み込みすぎでは?」
「失礼かもしれない」
こう考えて、
質問が止まる。
でも、
ここで一度考えてみて欲しいんです。
本当に嫌われるから聞けないのか?

その質問、実は、
“聞き慣れていないだけ”
つまり
「言い出す口が慣れていないだけ」
だったりしませんか?
多くの場合、「怖い」のではなく「慣れていない」
例えば、
不動産売買仲介営業を始めたばかりの頃は、
「昨年のご年収は…?」
と一言話しかけるだけでも、
緊張する人がいます。
そもそも、普段の生活の中で、
今まで生きてきた中で、
目の前の相手に対して「年収」を聞くことは
ほぼ無いでしょう。
言い慣れてない、聞き慣れてない。
だから、いざ聞こうとしても、
上手く言葉が出てこない。

でも、
人間、不思議なもので
何十回、何百回とやると、
普通になるものです。
ヒアリングの言葉一つひとつも同じです。
最初は、怖い。
「こんなこと聞いて大丈夫なのかな」
と思う。
でも、その言葉の大半は
やったことがない、
言ったことがない、
聞いたことがない、
ただだけではないでしょうか。
だから、
まず必要なのは、
完璧な質問技術ではなく、
「一歩踏み込む経験」
「一歩踏み込んでみる覚悟」
「とりあえず口に出してみる勇気」
だったりします。
気合い・根性・勇気のように
精神論に聞こえるかもしれませんが
実際に言えるように、聞けるようにならないことには
ヒアリング力も営業力も上がることはありませんから
まずは実践してみてください。
ヒアリング力は、“日常”で決まる
ヒアリングは、
接客中だけ鍛えようとしても、
限界があります。
普段から、
- なぜ?
- どうして?
- それって具体的には?
- 本当はどうしたい?
を考える習慣がないと、
営業現場だけ急にできるようにはなりません。
つまり、
営業力というより、
“普段の会話習慣”
が、
これが、そのままヒアリング力に直結します。

ヒアリングとは、単なる「情報収集」ではない
ヒアリングとは、
用意された質問リストを聞いて
項目を埋める作業ではありません。
本当に重要なのは、
「お客様が、なぜそう考えているのか」
を理解することです。
だから、
- 物件条件
- 希望エリア
- 予算
だけ聞いても足りないのです。
その条件の奥にある、
- 不安
- 価値観
- 判断基準
- 優先順位
まで見にいかないと、
本当のヒアリングにはなりません。
表層的ではない部分を
聞けるようになる必要があるのです。
そのために、
普段から質問の質を磨き上げる必要があるでしょう。
ヒアリング力を上げる第一歩
結局、新人営業マンが
ヒアリング力を上げる第一歩は、
シンプルです。
「質問する習慣を持つこと」
これに尽きます。
最初から完璧じゃなくていい。
でも、
- 勝手に解釈しない
- 曖昧を残さない
- 一歩踏み込む
- 「なぜ?」を聞く
この意識を持つだけでも、
会話の深さはかなり変わります。
そして、
ヒアリングが変わると、
お客様との信頼関係も、
営業の結果も、
大きく変わり始ると思っています。
