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営業思考力

「もっと安い物件ないですか?」と聞かれる状態が危険な理由【不動産売買 仲介営業】

#不動産仲介#営業#研修

不動産相場を理解していないと、家探しは終わらなくなる

不動産売買の仲介営業をしていると、お客様から時より聞かれることがあります。

「もっと安い物件ないですか?」

新人営業マン時代、この言葉に対して私は、

「もっと探さなきゃいけないのかな」
「まだ提案不足なのかな」
「とりあえずレインズで探してみよう」

と思っていました。

でも、現場で経験を積む中で、少しずつ分かってきたことがあります。

それは、

“もっと安い物件があるかもしれない”

という考えを持たせていること自体が、
お客様を迷いの入り口に立たせてしまっている、ということです。

そして実は、
この背景には、

“不動産価格の相場の成り立ち”

を、お客様がまだ理解できていない、
というケースが非常に多い。

今回の内容は新人営業マン向けに、

「なぜ相場の理解が重要なのか」
「なぜ営業は相場の話をするのか」

という部分を、
現場視点で整理していきます。

そもそも不動産価格はどう決まるのか

まず大前提として、
不動産取引は利益が絡む市場です。

「この価格で売れそう」

という相場感をもとに、
売買価格が形成されています。

例えば、

・同じエリア
・同じ広さ
・同じ築年数

で、

大体5,000万円くらいで売れそうだな、
という市場感があるとします。

そのとき、売主側はどう考えるか。

当然、「できるだけ高く売りたい」

出来る限り利益幅を大きくしたいからです。

そうすると、
5,000万円で売れそうなのに、
わざわざ4,000万円で売る理由はありません。

これがまず、
不動産価格を構成する考え方の大前提です。

「安い物件」には、安い理由がある

もちろん、
相場より安い物件が出ることもあります。

でも、
そこには何かしらの理由があります。

例えば、

・事故物件
・建築上の問題
・再建築不可
・近隣トラブル
・権利関係の問題
・大規模修繕リスク

などです。

つまり、

“安い”

というのは、
単純にラッキーではなく、

“何かを抱えている可能性”

でもある。

ここを理解しないまま、

「もっと安い物件ありませんか?」

と言われる状態になってしまうと

お客様は、
“存在しない理想”
を探し続けることになるのです。

なぜ「掘り出し物件」は一般市場に出にくいのか

ここも、
不動産業界の営業マンなら理解しておいた方がいいでしょう。

仮に、
本当に相場よりかなり安い物件が市場に出たとします。

すると何が起こるか。

まず、どこよりも
不動産会社が反応します。

なぜなら、
不動産会社は毎日、
物件情報を見ています。

その中では、
不動産買取業者も、
常に情報を探しています。

喉から手が出るほど買取案件が欲しがる
買取営業も数多存在しており
毎日のように案件を探し回っています。

つまり、

「安く仕入れられる物件」

は、

一般のお客様に届く前に、
業者間で取引されるケースが圧倒的に多い。

例えば、

・相続で早く現金化したい
・住み替えで急いでいる
・手間なく売却したい
・競売物件

というケース。

こういう物件は、

一般のお客様へ広く販売する前に、

不動産会社やリフォーム再販会社が買い取ります。

そして、買い取られた物件は

・リフォーム
・付加価値の追加

をした上で、
一般向けに再販売されます。

つまり、

“相場よりめちゃくちゃ安い掘り出し物件”

が、
普通に市場に残り続けることは、
実はかなり少ない。

ここを、まずは不動産業界の中で
特に居住用の売買仲介を行う営業マンであれば
理解していないといけません。

不動産会社の営業でも「相場購入」が普通

「不動産会社の人って、安く買えるんですよね?」

とお客様から聞かれたりします。

でも実際は、少し違います。

確かに、
諸経費などは多少変わることがあります。

ただ、

“自分たちの希望エリア”
“希望条件”

に合った物件を、

買取価格のような格安で購入できるケースは、
かなり少ない

実際、
90%以上の不動産営業マンは、
通常通り、相場価格で住宅を購入しているでしょう。

なぜなら、

そもそも、
希望エリアで、
希望条件の買取案件が出るとは限らないからです。

つまり、

「不動産会社の人ですら相場で買っている」

というのが現実。

ここまでを踏まえて続きにいきましょう。

相場の理解をお客様に伝える意味

ここからが大事です。

相場の理解を伝えるというのは

「安い物件、無いんだぁ〜・・・」

とお客様を諦めさせること、落胆させることではありません。

目的は、

“現実的な判断軸を持っていただくこと”

です。

例えば、

相場を理解していない状態だと、
お客様はこうなります。

・もっと安い物件あるかも
・まだ探せば出るかも
・他社ならあるかも
・待てば安くなるかも

この状態になると、
永遠に探し続け、迷います。

そして、
迷うほど、

・決断できない
・住宅ローン開始が遅れる
・家賃を払い続ける
・年齢が上がる
・老後負担が増える

という形で、
現実側の負担は増えていきます。

ここからは、営業側/お客様側、双方で
この不動産価格の成り立ち・相場の理解がある・ないことによる
メリット・デメリットを整理します。

営業マン側のメリット

まず、相場の成り立ちをしっかりとお客様に伝えている営業マン側のメリットです。

① 値引き交渉が減る

相場構造を理解いただけていないと、

「もっと安くならないですか?」
「他に安いのありますか?」
「待てば下がりますか?」

という金額の話になりやすい。

でも、
相場の成り立ちをお客様が理解していると、

「この中で自分たちは何を優先するか」

という視点が変わります。

つまり、

“安いものを探す視点” “価格を疑う会話”

から、

“今ある選択肢の中から整理する会話”

に変わる。

これは営業としてとても大きい転換です。

② 無限物件探しループが減る

お客様が、

「もっと安くて良いのがあるかも」

という状態になると、
永遠に物件探しが終わりません。

新人営業マンほど、ここで疲弊します。

その結果、

・提案数だけ増える
・時間だけ使う
・前に進まない
・関係性も薄くなる

という状態になります。

でも、
相場感が整理されると、

“見るべき価格帯”

が定まるので営業としても、
その後の営業導線を作りやすくなります。

③ 他社流出が減る

ここもかなり大きいです。

不動産仲介会社は、
基本的に同じ市場で物件を扱っています。

つまり、

“他社だけが持っている超掘り出し物件”

みたいな情報は、もちろん希少ながら存在しているものの
実際はかなり少ない。

ここを理解いただけると、

「他に行けばあるのかも」

と他社比較されにくくなる。

結果、

“物件価格”

ではなく、

“誰に任せるか”

に変わる。

つまり、
営業マン自身の信頼勝負になる。

ここに入れる営業は強いです。

お客様側のメリット

では、価格相場の成り立ちを聞いた・知ったお客様側のメリットは何でしょうか。

① 無駄な物件探しが減る

相場の成り立ちを知らないと、

「もっと安いのあるかも」
「まだ出るかも」
「待てば出るかも」

そう思うのも人間として自然です。

でも実際には、

・価格
・立地
・広さ
・築年数

などが要因となり価格が成り立っているため
全てが希望通りの完璧な物件は、ほぼ存在しない。

だから、
どこかで現実的な判断が必要になる。

相場理解は、現実ラインが明らかになり
無駄のない地に足がついた現実的な家探しに繋がります。

② 判断基準ができる

相場の成り立ちを理解できると、

「この条件なら、この価格帯が現実なんだな」

という視点と明確な比較軸ができます。

感覚での良し悪しや
絵に描いた餅と比較するのではなく、

明確な基準を持って物件を見られるようになる。

これはかなり大きいです。

③ 新生活スタートが早くなる

判断基準も曖昧で、
比較が重なり迷い続けると、
当然ながら

・住宅ローン開始
・引越し後の新生活

これらは全て後ろにズレます。

でも、相場理解があると、
時間のロスなく最適な物件選びまで
進める可能性が高まります。

「待つ時間がもったいない」

となるケースも非常に多いです。

相場を伝えていない営業マンのデメリット

お客様が相場理解を曖昧なまま営業すると、営業側はどうなるでしょうか。

終わらない追客が増える

相場理解が ないお客様は、

「もっと安い物件があるかもしれない」

という期待を持ち続けます。

すると、何が起こるか。

・比較が終わらない
・物件探しが終わらない
・毎週新着を見続ける
・永遠に“検討中”になる

つまり営業としては、

“前に進まない案件”

を抱え続けることになります。

これは新人営業マンほど苦しくなります。

「自分の提案が悪いのかな」

と感じ始めます。

でも実際は、提案不足なのではなく、

相場への理解不足を招いていることで
お客様を出口の無い家探しループに巻き込んでしまう

というケースがかなり多いのです。

話の主導権を握れない

お客様は物件価格を

“交渉できるもの”

として見ていることも多々あります。

すると、

「200万下がりませんか?」
「もっと安いのありませんか?」
「他社ならありますか?」

という話になっていきやすい。

この場合、

“価格交渉をすることは本当に最良なのか”
“今探している価格帯が本当に妥当ラインなのか”

をお客様と共に考える必要は出てきます。

仮に価格交渉するということは
もし同時タイミングに
満額での購入希望者が現れた場合、
満額の方を優先されてしまいます。

仮に、今探している価格帯の物件が高いなら、
予算設定から見直す必要があります。

いずれにせよ「もっと安く」という
キーワードで展開する世界に入り始めたら危険です。

相場を理解していないお客様のデメリット

お客様も不動産相場の成り立ちを理解していないと、大きなデメリットがあります。

存在しない物件を探し続ける

一番多いのはこれです。

相場感がないと、

・まだ他にあるかもしれない
・もっと安い物件が出るかもしれない
・待てば条件が良くなるかもしれない

という状態になります。

つまり、

“決め切れない”

状態になる。

市場に存在しない理想条件を追い続けているケースは本当に多く

結果として、

何ヶ月も、時には何年も、
物件探しが続いてしまう。

いつまで経っても
新しい住まいで叶えたい暮らしへの望みが叶わない。

これは避けなければいけません。

探している時間のコストを浪費されている

お客様は、
「まだ買っていないから、何も損はしていない」
と思っていることがあります。

でも実際には、

・家賃を払い続ける
・住宅ローン開始年齢が遅れる
・老後まで支払いが伸びる
・金利変動リスクを受ける

など、

“待っている間にもコスト”

は発生しています。

つまり、

安さを追い求め迷っている時間にも、
実はお金は垂れ流され続けている。

③情報疲れを起こす

相場理解がないと、

「他の会社なら、
もっと良い情報を持っているかもしれない」

という状態にもなりやすい。

結果として、

・複数社問い合わせ
・情報過多
・比較疲れ
・思考停止

が起きます。

そして最終的には、

「もう何が良いか、分からなくなりました」

という状態になることも少なくありません。

「相場を知らない」

というのは、
単なる知識不足の話ではなく、

“意思決定できない状態”

につながっていくのです。

不動産売買仲介営業は「安い物件探し」をする仕事ではない

不動産売買仲介営業の仕事は、

“お客様が知らない掘り出し物件”

を探し出して提案することではありません。

そうではなく、

“現実的な判断軸”

をお客様と一緒に整理することです。

・この価格帯なら何が叶うのか
・何を優先するのか
・どこは妥協できるのか
・将来的にどう暮らしたいのか

限られた予算の中でお客様に最適な物件はどれか、ここを整理していく。

それが、仲介営業の本質です。

結び

不動産相場の話は、
単なる価格の説明ではありません。

本質は、

“お客様の迷いを減らすこと”

だと思っています。

そして不動産売買仲介の新人営業マンには、
ぜひ理解してほしいことがあります。

それは、

不動産相場について伝える目的は、
「お客様への説得」ではない

ということです。

あくまで、

“客観的な事実をお伝えすること”

です。

その結果として、
お客様が判断しやすくなる。

だからこそ、仲介営業は、
ただレインズから物件情報を出して紹介するだけではなく、

「価格の成り立ちと購入予算」
「何を優先するのかの判断軸」

まで含めて、整理できる存在でなければいけない。

私はそう思っています。

この記事の著者

関根 祐太

株式会社Re-Branding 代表取締役
不動産 売買仲介営業 専門/研修講師
 
不動産をはじめ10業種以上の営業現場経験を経て、2023年に株式会社Re-Brandingを設立。1on1などを通して社員一人ひとりの本音や課題に向き合い、組織力を強化する支援を行う。離職率40%削減や売上140%向上といった成果を創出。
 
【専門分野】
不動産売買仲介/離職防止と組織力強化/営業プロセス改善
  
「一人ひとりの本音に向き合い、課題の本質を共に探り、解決へ導く」ことを信条に、企業の未来を共に形作るパートナーとして活動中。

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