営業成績を左右する「事実」と「解釈」の違い:真意を捉えるヒアリング術
あなたはお客様との会話の中で、どれだけ「事実」をしっかり捉えていますか?もしかすると、あなたの頭の中で「こうだろう」という思い込みや解釈が優先されてしまっていることはありませんか?
営業の現場では、この「事実」と「解釈」を混同することで、結果が大きく変わってしまうことがあります。この記事では、事実と解釈をどのように分けるべきか、そして解釈を適切に活かしながら次のアクションに繋げる方法をお伝えします。
「事実」と「解釈」を混同するリスク
営業の現場でよく見られるのが、「お客様がこう言っていたから」と自分なりの解釈を加えてしまうケースです。例えば、「お客様はこの商品を気に入っていないのではないか?」と勝手に解釈してしまい、提案を諦めたり、別の商品をすすめてしまうことがあります。しかし実際には、お客様はその商品の詳細がまだ理解できていないだけかもしれません。
このように、自分の「解釈」によって行動が変わってしまうことは、営業のみに限らず、仕事をする上れで大きな問題になり得ます。解釈に頼りすぎると、正しい対応ができず、結果として営業活動に悪影響を及ぼす可能性が高まります。
ある事例として「お客様は『もう少し考えます』と言った。だから、興味がないんだな」と解釈してしまった営業マンAさんは、その後お客様へのフォローをやめてしまいました。しかし、お客様は単に詳細な情報が欲しかっただけだったため、別のB社からのフォローを受け、結果としてB社の方で契約が成立しました。
解釈が間違ったときのリスク
正しい解釈に基づいた判断であれば問題ありませんが、解釈が間違っている時にはいくつかのリスクが伴います。
- お客様のニーズに応えることができない
- 営業活動が効率を欠き、無駄な時間を過ごす
- お客様との信頼関係が崩れる
これらのリスクを避けるためにも、解釈に頼らず、しっかりと「事実」を確認すること、「事実」に忠実であることの重要性がこのケースからもわかります。
正しい「事実」を見極めるためのヒアリング技術
では、どうすれば「事実」を的確に把握できるのでしょうか?その鍵は、適切なヒアリング技術にあります。お客様が本当に何を言っているのか、どのようなニーズを持っているのかをしっかりと聞き取りましょう。
ヒアリングのポイント:
- 具体的な質問をする
お客様の発言を漠然と受け止めるのではなく、より具体的な質問を投げかけることで、事実を掘り下げることができます。
「なぜそう思われたのですか?」や「もう少し詳しく教えていただけますか?」といった質問を投げかけると、お客様の本音が見えてきます。
- 確認のためのフィードバックを行う
お客様が話してくれた内容を、自分の言葉で確認することも重要です。「つまり、○○ということでよろしいですか?」と確認することで、解釈が入らず、事実として認識できます。
解釈を持ちつつ、仮説を立てる大切さ
とは言え、営業の現場では、解釈を完全に排除することは現実的ではありません。むしろ、解釈を持ちながらも、次の行動に結びつけるための「仮説」を立てることが重要なのです。ここで大切なのは、あくまで事実に基づいた仮説を立て、その仮説を実際にテストする姿勢を持つことです。
仮説の例
お客様が「今週は忙しくて検討する時間がない」と言った場合、そのまま放置するのではなく、「もしかすると、購入に対して一歩踏み出せない理由があるのかもしれない」と仮説を立て、その理由を探り、次のアクションを考えます。
「検討する時間がない」ということお客様が仰ったことは事実でしょう。しかし、それが「今回は購入しない」ということを決定づける理由にはなりません。「時間がないと言っているから、今回は購入しないと思います」という解釈になってはいけません。
勝手な推論を避け、正しいアクションを取るために
『時間がない』という言葉の裏には、今すぐには決断できない理由、手続きに踏み切れない理由があるはずなのです。
- この後、仕事に行かなければいけないのかもしれない
- 今週末に海外旅行を控えており、気分的に今決断に踏み切ることができないのかもしれない
- 実は比較検討している商品があり、その詳細をもう少し調べたいのかもしれない
このように、その言葉の背景を想像し、お客様に対して仮説を立てることによって、いくつかの返答を考えることが出来ます。
- 昨日もお仕事ということは、ひょっとして、この後もお仕事に行かれるのですか?
- もしかして、ご家族でお出かけのご予定などがあるのですか?
- もし〇〇社の製品についても比較されていらっしゃれば、検討しやすい資料をお持ちしましょうか?
このような仮説をテストする際には、「この提案をすることで、どんな反応が得られる可能性があるのか?」という視点で行動を進めましょう。もし仮説が間違っていたとしても、次に進むための新しい事実が得られます。それが次の行動に繋がり、最終的な成功に結びついていきます。
営業で最も重要なのは、お客様のニーズを正確に捉え、そのニーズに応じたアプローチを行うことですから、解釈を事実として扱わず、あくまで事実に基づいた仮説を立てることが、営業活動を成功に導くカギとなります。
結論: 事実を基にした営業活動を
お客様とのコミュニケーションにおいては、事実を正確に捉えることが第一歩です。その上で解釈を持ちつつ、次のアクションを導き出す仮説を立てることが、営業としての成長に繋がります。
常に「お客様の発言は事実なのか?それとも自分の解釈か?」を意識しながら行動することで、無駄な労力やストレスを減らし、成果を最大化していくことができるでしょう。仕事の現場で「事実と解釈」を明確に分ける習慣を身につけ、より効果的な営業活動を行っていきましょう。