「どうすればいいですか?」と聞く前に、一度だけ考えてほしいこと【不動産売買 仲介営業】
新人にとって、分からないことがあれば先輩や上司に質問することは大切です。
ただし、同じ「質問」でも、先輩や上司にとって答えやすい質問と、答えにくい質問があります。
たとえば、こんな質問です。
「雑談の鉄板トークはありますか?」
「ヒアリングで大切なことを教えてください」
「ロープレのお手本を教えてください」
「この場面ではどうすればいいですか?」
「ほかに意識した方がいいことはありますか?」
何を知りたいのかは、なんとなく分かります。
でも、実はこうした質問は、答える側からすると少し困ります。
なぜでしょうか。
なぜ、答えにくい質問になるのか?
たとえば、
「初回接点のヒアリングで、心掛けるポイントを教えてください」
と質問されたとします。
この質問を受けた先輩の頭の中には、いろいろな疑問が出てきます。
「どのお客様の話だろう?」
「実際に何をやって、何がうまくいかなかったんだろう?」
「本人は何が原因だと思っているんだろう?」
「ヒアリングの順番を聞きたいのか、質問の仕方を聞きたいのか?」
「そもそも、なぜこの質問をしようと思ったんだろう?」
つまり、質問に書かれていない情報を、答える側が推測しなければならないのです。

これが、
「聞きたいことはなんとなく分かるけれど、答えにくい質問」
になる原因です。
質問する側は一言で済みます。
でも、その一言に足りない情報を、先輩側が補いながら考えなければならない。
その結果、回答も広く、抽象的になりやすくなります。
新人の質問でよくある答えにくい質問3つのパターン
答えにくい質問には、大きく3つのパターンがあります。
① 自分の考えがない
たとえば、
「雑談の鉄板トークはありますか?」
「ロープレのお手本を教えてください」
「エリアの振り方の一例を知りたいです」
といった質問です。
もちろん、分からないことを聞くこと自体が悪いわけではありません。
問題は、質問をする前に、
「自分ならどうするか?」
を考えていないことです。
「正解を教えてください」という質問をすれば、先輩もその質問に対する「答え」を返すことになります。
でも、営業では、お客様も状況も毎回変わります。
「この場合は、このトークを使えばいい」
という答えを一つ覚えたとしても、違う状況になれば、また分からなくなるかもしれません。
だからこそ、
「私はこう考えました。この考え方で合っていますか?」
と、自分の考えを出したうえで質問することが重要です。
正解である必要はありません。
むしろ、間違っていてもいい。
自分の考えを出していれば、先輩は、
「どこまで理解できているのか」
「どこで考え方がズレているのか」
を確認できます。
② 「なぜ聞きたいのか」がない
たとえば、
「購入タイミングのトークについて教えてください」
と質問されたとします。
でも、これだけでは、なぜそれを知りたいのかが分かりません。
ロープレでうまく説明できなかったのかもしれません。
実際の商談でお客様の反応が悪かったのかもしれません。
先輩の営業を見て、自分との違いが気になったのかもしれません。
トーク自体は覚えたものの、どのタイミングで使えばいいのか分からないのかもしれません。
質問した理由によって、先輩が答えるべき内容は変わります。
だから、質問するときには、
「なぜ、この質問をしようと思ったのか?」
という背景も伝える必要があります。
③ 聞きたいことが広すぎる
たとえば、
「対話で大切なことは何ですか?」
という質問。
答えようと思えば、
- 話すスピード
- 表情
- 声のトーン
- 質問の順番
- 相槌
- 深掘り
- 雑談
- 共感
- 前振り
- クロージング
など、いくらでも答えられます。
つまり、質問に対する答えの範囲が広すぎるのです。
そうすると先輩は、
「この人に今、一番必要なのは何だろう?」
というところから考えなければなりません。
質問するときは、
「対話について教えてください」
ではなく、
「今日のロープレでは、お客様から回答をもらった後に、すぐ次の質問へ進んでしまいました。自分では、回答に対する深掘りが足りなかったと考えています。この認識で合っていますか?」
というように、確認したいことを1つに絞ることが大切です。

丁寧な文章=良い質問ではない
質問するときに、
「ご教示いただけますと幸いです」
「お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします」
と丁寧に書くことは悪いことではありません。
ただし、
文章を丁寧にすることと、質問の中身を具体的にすることは別です。
どれだけ丁寧な文章でも、
- なぜ聞いているのか?
- 自分はどう考えているのか?
- 何を確認したいのか?
が分からなければ、答える側の負担は変わりません。
まず考えるべきなのは、文章を丁寧にすることではなく、質問の中身を整理することです。
質問は「答えをもらうため」だけにするものではない
ここが一番大切です。
質問というと、
分からない
↓
先輩に聞く
↓
答えを教えてもらう
と考えてしまいがちです。
もちろん、知らないことを教えてもらう質問も必要です。
ただ、研修中に特に身につけてほしいのは、
「自分の考えを確認・修正するために質問する」
という考え方です。
まず、自分で考えてみる。
↓
自分なりの答えを出してみる。
↓
なぜそう考えたのか整理する。
↓
その考えを先輩に確認する。
↓
ズレていれば修正する。
この繰り返しによって、単に「答え」を覚えるのではなく、
答えを出すための考え方そのもの
が身についていきます。

営業では、お客様も状況も毎回変わります。
だからこそ、答えを一つずつ暗記するよりも、
自分で考え、仮説を立て、確認し、修正する力
これを身につけた方が、現場で応用が利きます。
質問する前に、この3つを整理する
難しく考える必要はありません。
質問するときは、次の3つを入れてください。
自分の考え + 理由・背景 + 聞きたいこと1つ
この3つです。
① 自分の考え
まず、
「自分はどう思っているのか?」
を考えます。
正解を探す必要はありません。
間違っていても構いません。
たとえば、
「自分では、お客様の回答を深掘りできなかったことが原因だと思っています」
でもいい。
自分の考えがあれば、先輩はその考え方を確認できます。
② 理由・背景
次に、
「なぜ、そう考えたのか?」
または、
「なぜ、この質問をしようと思ったのか?」
を伝えます。
たとえば、
「今日のロープレで、用意していた質問を聞くことに意識が向いてしまい、お客様の回答を拾えませんでした」
という背景があるだけで、先輩は状況を理解しやすくなります。
③ 聞きたいことを1つに絞る
最後に、
「結局、何を確認したいのか?」
を1つに絞ります。
たとえば、
「次回は、次の質問へ進む前に、お客様の回答を一度深掘りするという考え方で合っていますか?」
です。
逆に、
「トークの構成と、切り替え方と、意識していることと、マインドセットも教えてください」
となると、再び質問が広くなります。
まずは、自分が一番確認したいことを1つ聞きましょう。

そのまま使える「質問の型」
質問の内容に迷ったら、以下の型を使ってみてください。
型①|自分の認識が合っているか確認する
〇〇について質問です。
私は「〇〇だから△△する」という認識なのですが、合っていますでしょうか?
型②|自分が考えた原因を確認する
〇〇という場面で、△△という結果になりました。
私は××が原因ではないかと考えています。
この認識にズレがありますでしょうか?
型③|次の対応を確認する
〇〇という場面で、次回は△△しようと考えています。
理由は××だからです。
この対応で合っていますでしょうか?
型④|分からない部分だけ確認する
〇〇までは理解できています。
ただ、△△の部分が分かりません。
私は××ではないかと考えたのですが、この認識で合っていますでしょうか?
Before → Afterで比べてみよう
Before
「雑談の鉄板トークがあれば教えてください」
これでは、
- なぜ雑談について知りたいのか
- 何がうまくいかなかったのか
- 本人が雑談についてどう考えているのか
が分かりません。
After
「今日のロープレで、物件の話が終わると会話が途切れてしまいました。
自分では、物件の話だけで終わらせてしまい、お客様自身について質問できていないことが原因だと考えています。
車内で会話が途切れた場合、お客様自身の話へ広げていくという考え方で合っていますでしょうか?」
これなら、
場面・自分の考え・理由・確認したいこと
が分かります。
Before
「初回接点のヒアリングで心掛けるポイントを教えてください」
After
「今日のロープレでは、用意していた質問を順番に聞くことに意識が向いてしまい、お客様の回答を深掘りできませんでした。
自分では、質問項目を全部聞くことよりも、お客様が話した内容で気になった部分を深掘りすることを優先した方がいいと考えています。
この認識で合っていますでしょうか?」
これなら、先輩は単に「ヒアリングのポイント」を教えるのではなく、
本人の考え方が合っているかどうか
を確認できます。
「ほかに何かありますか?」にも注意する
もう一つ、よくある質問があります。
「私はA・B・Cだと考えました。ほかに何かありますか?」
自分で考えているので、一見すると良い質問に見えます。
もちろん、本当に漏れがないか確認したい場面では問題ありません。
ただ、最後を毎回、
「ほかに何かありますか?」
にすると、残りを全部先輩に考えてもらう質問になりやすくなります。
できれば、もう一歩進めて、
「A・B・Cの中では、今回のお客様の場合はBを優先すべきだと考えています。この判断で合っていますでしょうか?」
というところまで考えてみる。
自分なりの判断まで出す。
ここまでできると、質問の質はさらに上がります。
質問する前に、3つだけ確認しよう
日報を提出する前、先輩へ質問を送る前に、自分の文章を一度読み返してみてください。
確認するのは3つだけです。
① 自分の考えを書いたか?
「教えてください」だけになっていないか。
② なぜそう考えたのか、なぜ聞きたいのかを書いたか?
質問した理由を、相手が推測しなくても分かるか。
③ 聞きたいことを1つに絞ったか?
質問の範囲が広くなっていないか。
この3つが入っていれば、質問はかなり答えやすくなります。
「どうすればいいですか?」の前に「自分はどう思う?」を考える
良い質問とは、
難しい質問でも、長い質問でもありません。
自分がどこまで考えて、なぜ疑問に思って、何を確認したいのかが相手に伝わる質問です。
分からないことが出てきたら、すぐに、
「どうすればいいですか?」
と聞くのではなく、一度だけ、
「自分はどう思う?」
と考えてみてください。
そして、
「私はこう考えました。なぜなら〇〇だからです。この認識で合っていますか?」
と質問する。
答えをもらう質問から、自分の考えを確かめる質問へ。
この質問の仕方を、日々の研修やロープレ、日報の中で繰り返していけば、
単に答えを覚えるのではなく、
自分で考えて答えを出す力
が少しずつ身についていきます。

