不動産購入の条件は、どこから固めればいいのか【不動産売買 仲介営業】
不動産売買仲介の営業をしていると、お客様からいろいろな希望条件が出てきます。
予算、エリア、間取り、
築年数、駅距離、駐車場、
日当たり、道路付け、周辺環境、
学区、通勤距離、リフォーム状況。
挙げればキリがありません。
新人営業マンほど、こうした条件を一つひとつ真面目に聞こうとします。
もちろん、聞くこと自体は大事です。
ただし、すべての条件を同じ重さで扱ってしまうと、物件選びはどんどん難しくなります。
なぜなら、条件には優先順位があるからです。
今回は、不動産売買仲介営業において、お客様の条件をどこから固めていくべきかについて整理していきます。
まず固めるべき条件は3つ
結論から言うと、
お金
エリア
間取り
この3つです。

もちろん、細かく言えば他にも条件はあります。
築年数、駅距離、駐車場、日当たり、向き、道路、周辺環境なども大事です。
ただ、最初からそこに入りすぎると、条件整理が難しくなります。
まずは、
・いくらまで買えるのか。
・どのエリアで探すのか。
・どの間取りが必要なのか。
ここを固めることが最優先です。
①お金
まず一つ目は、お金です。

これは当然ですが、物件選びの土台になります。
・いくらの物件を買うのか。
・月々いくらまで支払えるのか。
・住宅ローンはいくら借りられるのか。
・自己資金はいくら使えるのか。
ここが曖昧なまま物件を探しても、何も判断できません。
例えば、3,000万円の物件を見るのか、4,000万円の物件を見るのかで、選択肢は大きく変わります。
月々8万円までなのか、12万円までなのかでも、提案する物件は変わります。
お金が決まらないと、そもそもどの価格帯の物件を見ればいいのかが決まりません。
だから、条件整理の最初の柱はお金です。
② エリア
二つ目は、エリアです。

どの市なのか。
どの区なのか。
どの沿線なのか。
どの駅なのか。
通勤・通学圏内の距離は、実家との距離は、慣れている生活圏は。
不動産は場所の商品です。
同じ3,000万円でも、エリアが変われば物件の内容はまったく変わります。
A市なのか、B市なのか、C市なのか。
同じ市内でも、S区なのか、T区なのか、U区なのか。
エリアが曖昧なままだと、物件の比較ができません。
だから、お金と並んでエリアは最初に固めるべき条件です。
③ 間取り
三つ目は、間取りです。

これも非常に重要です。
なぜなら、間取りは後から大きく変わりにくい条件だからです。
例えば、単身者であれば、1LDKや2LDKを希望するケースが多いでしょう。
夫婦や子どもがいるファミリーであれば、3LDKや4LDKが必要になることが多い。
家族人数がさらに多ければ、5LDKや6LDKを求めるケースもあります。
もちろん例外はあります。
単身でも荷物が多い人。
仕事道具や趣味のものが多く、3LDKを希望する人。
そういう人もいます。
ただ、それも基本的には最初の段階で分かることです。
最初は1LDKと言っていた人が、後から急に4LDKを希望する。
最初は3LDKと言っていたファミリーが、後から急に1LDKで良いと言い出す。
こういうことはあまり起きません。
つまり、間取りは比較的早い段階で固まりやすい条件です。
3つの条件が決まると、物件数が見えてくる
この3つが決まると、かなり物件の候補数が見えてきます。
例えば、
- 予算3,000万円
- A市内
- 中古マンション
- 3LDK
この条件で検索したとします。
この時点で物件数が少なければ、ある程度その中から見ていくことになります。
一方で、かなり多くの物件が出てくる場合もあります。
その場合は、次の段階でさらに絞り込む必要があります。
ここで大事なのは、最初から細かい条件に入りすぎないことです。
まずは大枠で物件数を見る。
その上で、まだ多いのか、少ないのかを判断する。
ここが営業マンの整理力です。
物件数が多すぎる場合、次に見るべきこと
お金、エリア、間取りで検索しても物件数が多すぎる場合。
次に見るべき方向性は大きく2つあります。
一つ目は、エリアをさらに絞ること。
二つ目は、物件条件をさらに細分化することです。

エリアをさらに絞る
例えば、横浜市内で探しているお客様がいたとします。
でも横浜市内だけでは広すぎる。
そういう場合は、
港北区がいいのか
磯子区がいいのか
鶴見区がいいのか
都筑区でもいいのか
保土ヶ谷区でもいいのか
このように、エリアをもう一段階絞っていきます。
「横浜市内ならどこでもいいです」
と言われたとしても、本当にどこでもいいことは少ないです。
住めるなら本当はここがいい。
通勤を考えるとこの辺がいい。
実家に近いならこのあたりがいい。
子どもの学校を考えるとこのエリアがいい。
何かしらの優先順位はあるはずです。
だから営業マンは、
「この中で、もし優先順位をつけるならどこが一番良いですか?」
と聞いていく必要があります。
次に見るのは築年数
エリアを絞り切れない場合、次に見ていく条件は築年数です。
一般的に考えれば、同じ予算、同じエリア、同じ間取りであれば、古い物件より新しい物件の方が好まれやすいでしょう。
もちろん、中古物件を購入して、自分でリノベーションしたい人もいます。
あえて古い物件を安く買って、DIYしたい人もいます。
ただ、それはどちらかというと例外です。
多くのお客様は、築年数が古いよりは、少しでも新しい方が綺麗で安心だと感じます。
だから、
築年数無制限で見る。
→次に30年以内で見る。
→それでも多ければ20年以内で見る。
→さらに10年以内で見る。
このように区切っていくと、物件数はかなり絞られます。
次に駅距離を見る
築年数でもまだ物件数が多い場合、次に見るのは駅距離です。
駅徒歩何分なのか。
徒歩15分以内なのか。
徒歩10分以内なのか。
徒歩5分以内なのか。
もちろん、駅距離の優先順位はお客様によって変わります。
車移動中心の人であれば、駅距離より駐車場や道路付けを重視することもあります。
ただ、一般論で言えば、駅から遠いよりは近い方が好まれやすい。
通勤や通学を考えても、距離は大きな判断材料になります。
つまり条件を整理する流れとしては、
お金。
エリア。
間取り。
築年数。
駅距離。
まずこの5つです。
この5つを押さえるだけで、物件候補はかなり絞れます。

それ以外の条件は、二の次・三の次で考える
もちろん。
- 南向きが良い。
- 3階以上が良い。
- 前面道路が広い方が良い。
- 日当たりが良い方が良い。
- 静かな方が良い。
- 駐車場が欲しい。
- 隣の家が気になる。
- 窓からの景色が気になる。
こうした条件も大事です。
ただし、営業マンがそこに最初から引っ張られすぎてはいけません。
なぜなら、細かい条件を全部入れると、物件は一気になくなるからです。

まず見るべきは、
お金
エリア
間取り
築年数
駅距離
この5つです。
その上で、日当たりや向き、駐車場、周辺環境などを見ていく。
順番を間違えると、物件選びは進まなくなります。
エリアが広いお客様には、優先順位をつける
ここからは、エリアの考え方について整理します。
まず、対象エリアが広いお客様の場合です。
例えば、
「A市でもB市でもC市でも、
会社から1時間通勤圏内で条件が合えば見たいです」
というお客様がいたとします。
この場合、営業マンがやるべきことは、
ただ広く物件を出すことではありません。
まず聞くべきなのは、
「A,B,C、その中で、住むとしたら一番理想に近いのはどこですか?」
ということです。
対象エリアが広いとしても、
その中に優先順位はあるはずです。
第一希望のエリア。
第二希望のエリア。
第三希望のエリア。
この順番をつける。

そして、
まず第一希望エリアの中で条件に合う物件を見にいく。
そこに良いものがなければ、第二希望エリアへ広げる。
この順番で見ていく方が、判断しやすくなります。
「どこでもいい」は、本当にどこでもいいわけではない
営業現場では、お客様から
「この範囲なら、どこでもいいです」
と言われることがあります。
でも、本当の意味でどこでもいい人はほとんどいません。
- 予算が合うなら本当はこのエリアがいい。
- 通勤を考えるとこの辺がいい。
- 実家に近いならこの辺がいい。
- 子育てを考えるとこのエリアがいい。
そういう本音はあるはずです。
もし本当に「どこでもいい」と言っているように見えるなら、
- まだ信頼関係ができていない。
- 条件を言語化できていない。
- 希望を言うことに遠慮している。
そういう可能性もあります。
だから営業マンは、言葉をそのまま受け取るのではなく、
「その中でも、できればここが良いという場所はありますか?」
と聞いていく必要があります。
エリアが限定されているお客様には、最大値を確認する
一方で、エリアがある程度限定されているお客様もいます。
例えば、
- 「この学区内が良いです」
- 「この駅周辺が良いです」
- 「実家の近くが良いです」
- 「この沿線が良いです」
というケースです。
この場合、まずはその希望エリアを尊重します。
いきなり別のエリアを提案するのは違います。
ただし、営業マンとして確認しておくべきことがあります。
それは、
最大限どこのエリアまで広げられるのか
です。

最大値を聞いておかないと、後で詰まる
希望エリアの中に良い物件があれば問題ありません。
でも、なかった場合はどうでしょうか。
そのときに、どこまで広げられるのかが分かっていないと、次の提案ができません。
さらに怖いのは、お客様が勝手に別エリアで探し始めることです。
「営業マンが聞いていなかったエリアで、お客様が他社に問い合わせる。」
これは現場では普通に起こります。
だからこそ、最初の段階で確認しておく必要があります。
「第一希望はこのエリアだと思うのですが、仮に物件がなかった場合、最大でどこまでなら検討できますか?」
この確認です。
これは、別エリアを勧めるためではありません。
あくまで、可能性の最大値を把握するためです。
予算と同じように、エリアにも最大値がある
予算でも同じです。
お客様に対して、
「理想は3,000万円以内。ただ、最大でどこまでなら検討できますか?」
と確認することがあります。
この最大値を超えた物件を見せてしまうと、判断がズレます。
エリアも同じです。
第一希望はここ。
でも、最大でここまでは頑張れる。
これより遠いと無理。
この境界線を確認しておく。
そうすることで、提案の幅と限界が見えてきます。

エリアを広げることが正解なのではない
ここで勘違いしてはいけないのは、
エリアを広げること自体が正解ではないということです。
営業マンが勝手に、
「エリアを広げた方が物件が増えるからいいですよ」
と進めてしまうのは危険です。
お客様には、お客様なりにそのエリアで希望する理由があります。
- 通勤・通学の利便性。
- 実家との距離。
- 住み慣れた生活圏。
- 慣れた土地勘。
- 子育ての便利さ。
そこを無視して広げても、選ばれません。
大事なのは、
第一希望エリアを尊重した上で、
“もしなかった場合”の最大値を確認しておくことです。

条件整理は、物件を探す前に行う仕事
新人営業マンは、すぐに物件を探そうとします。
しかし、本来はその前に条件を整理しなければいけません。
- お金はいくらか。
- エリアはどこか。
- 間取りは何か。
- 築年数はどこまで許容できるか。
- 駅距離はどこまで可能か。
エリアを広げるなら最大どこまでか。
ここを整理してから物件を見る。
そうしないと、物件数が多すぎたり、逆に少なすぎたりして、提案がブレます。
最後に
不動産購入の条件は、全部を同時に固めようとしてはいけません。
まず固めるべきは、繰り返す通り
お金。エリア。間取り。
この3つです。そして、その次に見るべきは、
築年数。駅距離。
まずこの5つを押さえる。
それ以外の細かい条件は、もちろん聞く。
ただし、営業マンがそこに引っ張られすぎてはいけません。
お客様は細かい希望を言います。
- 南向きが良い・・・
- 静かな方が良い・・・
- 駐車場が欲しい・・・
- 日当たりが良い・・・
それらは大事です。
でも、物件選びの軸はそこだけではありません。
営業マンの役割は、お客様の希望を全部そのまま受け取ることではありません。
どの条件が大枠で、どの条件が細部なのか。
何を先に固めるべきで、何を後から判断すべきなのか。
それを整理することです。
物件探しは、条件の整理から始まります。
そして条件整理の順番を間違えないこと。
それが、不動産売買仲介営業におけるヒアリングの大事なポイントなのだと思います。

