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「丁寧に話す」と「下から話す」は、まったく別の話【不動産売買 仲介営業】

#不動産仲介 #営業 #教育 

「もっと丁寧に話した方がいいかな」
「お客様には失礼のないようにしよう」

もちろん、これは大事な心がけです。

特に不動産売買仲介の世界に飛び込んだ新人にとって、多くのお客様が自分より年上なケースが多いです。

社会経験も長い。
仕事では、自分よりはるかに大きな責任を背負っている人もいるでしょう。

だからこそ、新人営業マンほど、

「これ言って大丈夫かな」
「否定したと思われないかな」
「偉そうに聞こえないかな」

と考えてしまうことがあります。

 

その結果、

必要以上に相手に合わせたり、
言うべきことを言えなくなったり、
もうちょっと下から言ったほうが良いのかもと思ったり、
自分の意見を引っ込めたりしてしまう。

ひょっとしたら、あなたも一度はこのように考えてしまったことがあるかもしれません。

でも、ここで一度整理しておきたいことがあります。

それが今回のテーマ
「丁寧であること」と「自分を下げて話すこと」は、まったく別だ
ということです。

 

「丁寧」には、2つある

まず、

「丁寧である」

とはどういうことしょうか。

 

私は、「丁寧」にも、大きく2つあると思っています。

① 言葉遣いが丁寧であること
② 所作・動きが丁寧であること

一番イメージしやすいのは、

高級料亭の女将さんや、ファーストクラスのCAでしょうか。

言葉遣いは丁寧。
姿勢もきれい。
お辞儀や物の渡し方も丁寧。
相手への配慮もある。

でも、必要以上にオドオドしたり、自分を卑下したり、

「著名ですごい経営者様を前に、私なんかが、申し訳ありません!」

という態度で接しているわけではありません。

むしろ、プロとして堂々としています。

ここが大事です。

 

「下から話す」とは、自分の立場まで下げてしまうこと

一方で、

「下から話す」とは何でしょうか。

いろいろな解釈はあると思いますが、

私は、自分の立場を、必要以上に相手より下に置いて対話することだと考えています。

例えば、

自分と同期入社。同い年。不動産歴も同じ1年。出身地も近い。

そんな人がいたとします。

恐らく、必要以上に上下関係を意識せず、同じ目線で普通に話しますよね。

 

ところが、その人に対して、

「いやいや、自分なんて全然ですよ」
「自分は大した経験もないので」
「あなたの方がすごいので」

と必要以上に自分を下げ続けていたらどうでしょうか。

これは、

「丁寧に接している」というより、

自分の立場や尊厳まで下げている状態に近いと思います。

ここは、分けて考えた方がいいでしょう。

 

ファーストクラスのCAは、相手の属性を見て仕事を変えるのか?

例えば、

JALのファーストクラスのCAが、年商1,000億円の会社を経営する社長を接客しているとします。

当然、相手はものすごい経歴の持ち主かもしれません。

収入も、社会的立場も、自分とは比較にならないかもしれない。

ではCAが、

「相手は1,000億円企業の社長だ……」
「私はただのCAだし……」

と考えて、必要以上にへりくだり、オドオドしながら対応するでしょうか。

恐らく、しません。

言葉遣いは丁寧です。所作も丁寧です。
最高水準の敬意を持って接するでしょう。

 

でも、それは、仕事上の自分の役割まで放棄することはありません。

例えば、その社長が機内マナーを守らず、他のお客様に迷惑をかけていたとします。
 

そのとき、

「1000億円企業の凄腕の社長様だから、私は何も言えません。」

とはならないでしょう。

 

CAさんの役割は、他のお客様も含めて、安全で快適な移動時間を提供することです。

そのために必要であれば、丁寧な言葉と所作を保ちながら、
その社長へ、プロとして伝えるべきことを伝えるはずです。

 

つまり、

敬意を示すことと、相手の下に入ることは違う

ということです。

 

あなたはプロなのです

これは、不動産売買仲介営業の新人でも同じです。

お客様から見れば、営業マンであるあなたは、
「不動産購入のプロ」です。

もちろん、
お客様の方が年上かもしれません。
会社では役員かもしれない。
大企業の部長かもしれない。
医師かもしれない。
経営者かもしれない。

人生経験では、到底かなわないこともあるでしょう。

だから、人としての敬意を持って接するのは当然必要です。

 

ただし、「不動産購入」というテーマに限れば、立場は変わります。

お客様が初めて家を買うのであれば、不動産購入についてそのお客様は「1年生」です。

一方で、営業マンは、毎日のように物件を見て、
住宅ローンを扱い、契約を見て、
多くのお客様の購入をサポートしている。

つまり、不動産購入については、
営業マンであるあなたの方が、お客様より詳しいハズです。

もちろん、購入という未来へお導きするにあたって、他の不動産営業マンと比較したら、知識や経験が足りていないことばかりでしょう。

でも、
住宅ローンについて、物件探しの進め方について、
たった数ヶ月間でも今まで勉強してきたのですから、全くの素人ではないハズです。

だからこそ、
お客様が間違った認識をしているとき。
危険な判断をしそうなとき。
無理のある進め方をしようとしているとき。
購入の未来から遠ざかりそうなとき。

そこで、
「お客様が言っているから…」
「年上だから…」
と全ての意見や進め方を合わせることが、本当にお客様のためでしょうか。

私は違うと思っています。

 

プロだからこそ、言うべきことを言う

例えば、お客様から、

「もっと安い掘り出し物件ってないんですか?」

と言われたとします。

 

そこで、

「そうですよね。探してみます。」

だけで終わってしまえば、お客様の認識は変わりません。
場合によっては、市場に存在しないものをずっと探し続けることになります。

 

あるいは、値下げ交渉をすべきではない物件で、

「(安くしたいと言ってるから)とりあえず100万円、下げて言ってみましょうか」

とやってしまえば、買える可能性そのものを下げることもあります。

 
だからこそ、必要な場面では、
営業マンがプロとして、お客様にとって本当に必要なことを、伝えなければいけません。

 

このとき、私がよく使っていた前置きがあります。

それは

「不動産売買のプロとしてお伝えさせていただきますと……」

です。

例えば、

「不動産売買のプロとしてお伝えさせていただきますと、掘り出し物件は基本的にない、というのが実態です。なぜならば……」

「不動産売買のプロとしてお伝えさせていただきますと、この物件では値下げ交渉はおすすめいたしません。なぜならば……」

「100件以上の住宅購入をお手伝いしてきた者としてお伝えさせていただきますと、先に予算を固めることが大切です。なぜならば……」

こういう前置きを入れることで、

これは、

営業マン個人の感想ではなく、専門家としての見解として伝えやすくなります。

 

プロとして伝えるときほど「根拠」が必要

ただし、

「私はプロなんだから、私の言うことを聞いてください」

ではありません。それでは単なる押し付けです。

プロとして伝えるときほど、
重要なのは、なぜそう言えるのか、です。

 

例えば、

「この物件で値下げ交渉はおすすめしません」

だけでは、ただの意見です。

でも、

「現在、すでに別のお客様も検討していると情報が入っております」
「ここで強い値下げ交渉を入れることで、売主様が他のお客様を優先する判断をされる可能性があります」

と根拠まで説明できれば、お客様も判断できます。

つまり、プロとして伝えるとは、
なにも声を大きく話すことでも、
語気を強めて言い切ることでもありません。

根拠を持って、判断材料を提示することです。

 

丁寧さが欠けると、「プロの言葉」にならない

一方で、どれだけ内容が正しくても、言葉遣いや所作が雑なら、お客様には届きません。

例えば、お辞儀は適当で、雑に資料を扱い、敬語も使えない人から

「いや、それ違いますよ!」

と言われたらどうでしょうか。

内容が正しかったとしても、素直に聞きたくなくなります。

 

だから、ここで最初の話に戻ります。

必要なのは、

丁寧な言葉

と

丁寧な所作

なのです。

そして、そこに、

プロとしての知識と根拠

を乗せる。

この3つが揃って、

初めて、
「この人の話は聞いた方がいい」
と思っていただけるのだと思います。

 

「上下」を気にしなくなる、もう1つの方法

もう1つ、相手との上下関係を必要以上に気にしなくなる方法があります。

それが、

共通のゴールを明確にすること

です。

例えば、私の研修であれば、

「3ヶ月で営業現場に立てるようになる」

というゴールがあるとします。

指導する側と研修を受ける側で、
年齢も、社歴も、経験も違うかもしれません。

でも、目指している場所は同じです。

「3ヶ月で現場に立てるようになる!」

そのために、できていることは認める。
足りないところは指摘する。
必要なら厳しいことも伝える。

これは、相手を否定したいからではありません。

同じゴールに向かうために必要だからです。

だから、受ける側も話を聞きやすくなります。

 

お客様との共通ゴールは「家を買うこと」

不動産営業でも同じです。

お客様との共通ゴールは、

大きく言えば、「納得できる家を買うこと」です。

営業マンは、そのゴールに向かうために、必要なことを伝えます。必要なことを聞きます。必要なことを整理します。

予算を決める。
エリアを絞る、優先順位を決める。
時には、希望条件の見直しを提案する。

必要であれば、

「佐藤様に合っているのは、こちらの物件だと思いますがいかがですか?」

と伝える。

これらはすべて、お客様と営業マンが、
同じゴールに向かっているから成立します。

このとき、

年齢も、収入も、学歴も、肩書きも、本質的には一歳関係ありません。

 

必要なのは、

お客様とゴールに向かうために、何が必要なのか?

です。

 

だから「買う理由」を確認する必要がある

ただし、共通のゴールは、営業マンが勝手に決めるものではありません。

例えば、

「家を買う」と言っても、

その理由は人によって違います。

・子どもが生まれるから
・今の家が手狭だから
・家賃がもったいないから
・親の近くに住みたいから
・子供のために残したいから

ゴールの背景が違えば、必要な提案も変わります。

だからこそ、最初に確認しなければいけないのが、
買う理由・動機・購入意思です。

 

ここが曖昧なままだと、営業マンが必要なことを伝えても、

お客様からすれば、
「なんでそこまで言われないといけないの?」
となります。

逆に、

「子どもが小学校に入るまでに、このエリアで家を買いたい」

という目的を共有できていれば、

「では、その期限から逆算すると、今ここでしっかり進めましょう」

という話になります。

 

これは、押し付けではありません。

共通のゴールに向かうための提案

です。

 

プロとして伝えるときに気をつけること

ここまでを整理すると、お客様に伝えなければいけない場面で、
意識したいポイントは大きく4つです。

① 言葉遣いは丁寧にする

敬語、言葉の選び方、声のトーン。ここは崩さない。

② 所作は丁寧にする

姿勢、表情、資料の扱い、聞く姿勢。言葉以外も見られています。

③ プロとしての根拠を持つ

「私はそう思います」ではなく、なぜそうなのかを説明する。

④ 共通のゴールから話す

営業マンの都合ではなく、お客様が目的を達成するために必要な話として伝える。

 

この4つが揃っていれば、

「伝えること」と、「偉そうにすること」は、

まったく別物になります。

 

最後に

営業では、「丁寧に接すること」は、とても大切です。

でも、丁寧だからといって、自分を下げる必要はありません。

お客様が年上でも、
社会的に成功している人でも、
人生経験が豊富でも、
人としての敬意を持ちながら、不動産購入については、プロとして前に立つ。

必要なことは、必要だと伝える。
違うことは、違うと伝える。

ただし、言葉と所作は丁寧に。
そして、必ず根拠を持つ。

 

その根底には、

「このお客様が、納得できる住宅購入をするために」

という共通のゴールを置く。

私は、

この状態こそが、

「下からでも上からでもなく、プロとしてお客様と向き合えている状態」

なんだと思います。

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