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学区内に1軒しか物件がない。本当に比べるべきものとは何か?【不動産売買 仲介営業】

#不動産仲介#営業

不動産売買仲介の現場では、営業マンがかなり悩みやすい場面があります。

それは、

「お客様の希望条件に合う物件が、ほとんどない」

という場面です。

特に分かりやすいのが、学区指定のお客様です。

たとえば、

・お子様の学区を変えたくない
・予算は2,600万円前後
・その予算内で学区内に出ている物件は2件だけ
・そのうち1件はすでに申し込みあり
・残っているのは実質1件だけ

こういう状況です。

このとき、営業マンはかなり焦ります。

「もうこの物件しかない」
「これで決まってくれないと厳しい」
「この物件を気に入ってもらわないと、次がない」

そんな気持ちになりやすい。
そして、その気持ちはよく分かります。

不動産は世界に一つしかない商品です。

同じ学区、同じ予算、同じ間取り、同じ築年数、同じ駅距離の物件が、次にいつ出てくるかは分かりません。

だから、営業マンとしては、

「頼むから、この物件で前に進んでほしい」

と思ってしまう。

でも、実はこの瞬間こそ、営業マンが一番大きな落とし穴にはまりやすい場面です。

なぜなら、営業マンの意識が、

お客様の人生ではなく、目の前の物件に向いてしまうからです。

今回は、

「学区内に1軒しか物件がない」

というケースを通して、不動産仲介営業マンが本当に比べるべきものは何なのかを整理していきます。

 

「この物件で決めたい」と思った瞬間、営業はズレ始める

学区内に物件が1軒しかない。
予算も上げられない。
エリアも広げたくない。

この状況になると、営業マンの頭の中は、かなり単純になります。

「この物件で決めてもらうしかない」

です。

もちろん、営業としては自然な感情です。

  • 他に選択肢がない。
  • この物件を逃したら、次がいつ出るか分からない。
  • お客様も家を買いたいと言っている。
  • 事前審査も進んでいる。
  • 条件としてはかなり煮詰まっている。

そうなると、営業マンとしては、

「何とかこの物件を良く見せたい」
「少々気になるところがあっても、前向きに考えてほしい」
「ここで決めないと、本当に物件がなくなる」

と思いやすい。

でも、ここが危険です。

その気持ちのまま案内に入ると、営業マンの立ち振る舞いが変わります。

お客様からすると、

・なんとなく押されている
・この物件で決めさせようとしている
・営業マン都合で話されている
・本当に自分たちのことを考えてくれているのか分からない

という印象になりやすい。

つまり、営業マン本人は一生懸命でも、お客様には圧迫感として伝わる可能性があります。

これはかなり危険です。

 

 

営業マンは、

「この物件しかないから、何とか決めてもらいたい」

と思っている。

でもお客様は、

「本当にこの物件でいいのかを考えたい」

と思っている。

このズレが生まれた瞬間、営業はお客様の味方ではなくなってしまいます。

 

お客様が物件を気に入らなかった場合、何が起きるのか

では、その1軒しかない物件を案内した結果、お客様が気に入らなかったらどうなるでしょうか。

おそらく、こうなります。

「少し考えます」
「やっぱり待ちます」
「学区内で次に出るのを待ちたいです」
「今は無理に買わなくてもいいかなと思います」

こういう反応になる可能性が高い。

なぜなら、お客様からすれば、学区内で探している理由があるからです。

  • お子様の転校を避けたい。
  • 今の友達と離れさせたくない。
  • 新しい学校に馴染めるか不安。
  • 親として、できれば今の環境を変えたくない。

そういう気持ちがある。

だから、学区内の物件が気に入らなければ、

「では学区外で探しましょう」

とは簡単になりません。

むしろ、

「学区内で次に出るまで待ちます」

となりやすい。

営業マンからすると、

「いや、次にいつ出るか分かりませんよ」

と思うでしょう。

でも、お客様からすると、

「それでも転校は避けたい」

となる。

このとき、営業マンがやりがちなのが、

「この物件しかないですよ」
「学区内では本当に出ていません」
「次はいつ出るか分かりません」
「だからこの物件を前向きに考えた方がいいです」

という話です。

でも、これだけでは弱い。

なぜなら、お客様が本当に悩んでいるのは、物件の数ではないからです。

 

本当の問題は「物件がないこと」ではない

このケースで、本当の問題は何でしょうか。

表面的には、

学区内に物件がないこと

です。

でも、それはあくまで表面です。

もう少し深く見ると、お客様が抱えている問題は、

学区外に出ることで起きる心理的不安

です。

たとえば、

・子どもが今の友達と離れてしまう
・新しい学校に馴染めるか分からない
・転校の手続きが面倒
・子どもに寂しい思いをさせたくない
・親として申し訳ない気持ちがある
・環境を変えることに抵抗がある

こういう不安です。

つまり、お客様は、

「学区外の物件が嫌だ」

と言っているようで、実際には、

「転校によって子どもに負担をかけたくない」

と思っている可能性が高い。

ここを間違えてはいけません。

営業マンが見るべきなのは、物件ではありません。

お客様の中にある不安です。

そして、その不安が何に対する不安なのかを整理することです。

 

営業マンは、転校そのものを解決することはできない

ここで大事なのは、営業マンができることと、できないことを分けることです。

営業マンは、お客様の問題解決を手伝う仕事です。

でも、何でも直接解決できるわけではありません。

たとえば、転校の問題。営業マンは

  • 転校をなくすことはできません。
  • 友達を連れていくこともできません。
  • 学校を移動させることもできません。
  • 新しい学校で必ず友達ができる保証もできません。
  • 子どもが絶対に馴染めると約束することもできません。

つまり、物理的な問題としての転校は、営業マンには解決できない。

ここは正しく認識する必要があります。

しかし、営業マンにできることもあります。

それは、

お客様の見方を整理すること

です。

もっと言えば、

ネガティブに見えている出来事を、別の角度から見直す手伝いをすること

です。 

 

転校は、失うものだけなのか

転校と聞くと、多くの人はネガティブに捉えます。

  • 友達と離れる。
  • 環境が変わる。
  • 新しい学校に馴染めるか分からない。
  • 子どもが不安になる。

これは確かにあります。
親として、その不安を感じるのは自然です。

ただ、ここで一度考えてみる必要があります。
転校は、本当に失うものだけなのでしょうか?

違う見方もできます。

たとえば、

・新しい友達ができる
・新しい環境に適応する経験になる
・人間関係の幅が広がる
・環境変化に強くなる
・子どもの経験値が増える
・新しい価値観に触れられる

こういう側面もあります。

もちろん、だから転校した方がいいと言いたいわけではありません。

そうではなく、

転校には、失うものだけでなく、得られるものもある

ということです。

営業マンがやるべきことは、

「転校しましょう」

と説得することではありません。

「転校は悪いことだけなのでしょうか?」

と、お客様が見落としている反対側の視点を一緒に見ることです。

 

人は「失うもの」を大きく感じる

人は、心理的に得るものよりも失うものを大きく感じます。

たとえば、同じくらいの価値があるものでも、

「得られる喜び」

より、

「失う痛み」

の方が強く感じられます。

だから、お客様はどうしても、

・今の友達と離れる
・今の環境を失う
・今の学校を変える
・今の安心を手放す

という部分を大きく見てしまいます。

特に、それが子どものことになると、なおさらです。

親として、

「子どもに寂しい思いをさせたくない」

と思うのは当然です。

ただ、その結果として、得られる可能性のある未来を見落としてしまうことがあります。

たとえば、

・新居で子どもに一人部屋を与えられる
・家賃を払い続ける不安が減る
・老後の住まいの不安が減る
・資産として家を持てる
・家族の生活が安定する
・子どもの成長に合わせた住環境を整えられる

こういう未来です。

営業マンは、この天秤を整える必要があります。

失うものだけを見るのではなく、得られるものも同じ天秤に乗せる。
その上で、お客様に判断してもらう。

これが、営業マンの大事な役割です。

 

本当に比べるべきものは、物件同士ではない

多くの営業マンは、物件を比べます。

A物件とB物件。
学区内と学区外。
駅距離。
間取り。
築年数。
価格。

もちろん、それも大事です。
不動産ですから、物件条件の比較は必要です。

しかし、今回の「学区に1軒しかない」というケースで本当に比べるべきものは、そこだけではありません。

  • 学区内に1軒しか物件がない。
  • その物件が気に入らない。
  • 予算も上げられない。
  • エリアも変えたくない。

もしこの状態になった場合、
この状態で本当に比べるべきものは、

物件Aと物件Bではありません。

本当に比べるべきなのは、

転校による一時的な痛み

と、

家を買わないことで失うかもしれない未来

です。

ここを間違えてはいけません。

 

「転校の不安」と「家を買う理由」を天秤にかける

たとえば、今回のお客様が家を買いたい理由が、こうだったとします。

・今の賃貸では子どもに一人一部屋を与えられない
・家賃を払い続けるのがもったいない
・老後の住まいが不安
・将来の支払いを考えると、早めに持ち家を考えたい

この場合、お客様が本当に叶えたいことは何でしょうか。

単に、

「学区内に住みたい」

ではありません。

本当は、

・子どもに部屋を与えたい
・家族の暮らしを整えたい
・老後不安を減らしたい
・家賃を資産形成に変えたい
・将来の生活を安定させたい

こういう願望があるはずです。

では、その願望と、転校による不安を比べる必要があります。

転校の不安は、たしかに大きい。
でも、その痛みはどのくらい続くのでしょうか。

小学校5年生のお子様であれば、長く見ても小学校卒業まで1年程度かもしれません。

もちろん、その1年を軽く見ていいわけではありません。
子どもにとっては大事な時間です。

ただ一方で、住宅購入は何年の話でしょうか。

5年でしょうか。10年でしょうか。

違います。

住宅ローンを組むなら、30年、35年という時間軸です。
老後の住まいまで考えるなら、40年、50年の話です。

つまり、

1年程度の転校不安

と、

30年、40年、50年の暮らし

を天秤にかけている可能性がある。

この時間軸を見せずに、目の前の物件だけで話してしまうと、お客様は本当の意味で人生の買い物の判断ができません。

 

お客様は「今の不安」に引っ張られやすい

お客様は、どうしても今の不安に引っ張られます。

今、子どもが転校を嫌がるかもしれない。
今、友達と離れるのがかわいそう。
今、新しい環境が不安。
今、手続きが面倒。
今、家族で悩む。

これは分かります。
ただ、不動産購入は「今」だけの話ではありません。

むしろ、未来のために今決断するものです。

・5年後、子どもが中学生になったとき
・10年後、高校や大学進学を考えるとき
・20年後、住宅ローン残高と資産を考えるとき
・30年後、老後の住まいを考えるとき

そこまで含めて考える必要があります。

営業マンがやるべきなのは、

「今だけを見ること」

ではありません。

お客様が見えていない未来を、一緒に見に行くことです。

 

「待つ」という選択にもリスクがある

学区内の物件が気に入らなかった場合、お客様はこう言うかもしれません。

「また学区内で出るまで待ちます」

この判断も、もちろん一つの選択です。
営業マンが無理に否定するものではありません。

ただし、営業マンは「待つリスク」も伝える必要があります。

なぜなら、お客様は待つことを安全な選択だと思いやすいからです。

でも実際には、待つことにもリスクがあります。

たとえば、

・次に物件が出る保証はない
・出ても予算内とは限らない
・金利が上がる可能性がある
・年齢が上がることでローン期間が短くなる
・健康状態が変わる可能性がある
・団体信用生命保険に通らなくなる可能性がある
・収入状況が変わる可能性がある
・物件価格が上がる可能性がある

こういうリスクがあります。

特に年齢が高めのお客様の場合、この視点は非常に重要です。

たとえば、48歳で住宅ローンを組むお客様。

今ならローンが組めるかもしれません。

でも、1年後も同じ条件で組める保証はありません。

  • 健康状態が変わるかもしれない。
  • 病気をするかもしれない。
  • 団信に通らなくなるかもしれない。
  • 収入が変わるかもしれない。
  • 金融機関の審査条件が変わるかもしれない。
  • 金利が変わるかもしれない。

つまり、

「今はやめて、1年後にまた考えます」

という選択が、必ずしも安全とは限りません。

むしろ、1年後に、

「あの時なら買えたのに」

となる可能性もあります。

 

本当の後悔は、目の前では分からない

営業マンが考えるべきなのは、

お客様が本当に後悔しない選択は何か

です。

目の前の後悔だけではありません。

たとえば、

「転校させてかわいそうだった」

という後悔があるかもしれません。

でも一方で、

「あの時、家を買っておけばよかった」
「子どもに部屋を与えられなかった」
「家賃を払い続けて、結局、資産が残らなかった」
「年齢や健康の問題で、住宅ローンが組めなくなった」

という後悔もあります。

どちらが正解かは、営業マンが決めることではありません。
ただし、営業マンは、その未来を見せる必要があります。

お客様が今見えているのは、目の前の不安だけかもしれません。
でも営業マンは、もっと長い時間軸で考えなければいけない。

それが、不動産仲介営業の仕事です。

 

営業マンは「物件を売る人」ではなく「時間軸を広げる人」

新人営業マンは、どうしても目の前の物件を見ます。

この物件はどうか。
日当たりはどうか。
間取りはどうか。
価格はどうか。
駅距離はどうか。

もちろん大事です。

でも、それだけでは浅い。
不動産営業で本当に必要なのは、お客様の時間軸を広げることです。

今の不安だけでなく、5年後、10年後、30年後、50年後まで一緒に考える。

その上で、

「今、何を選ぶべきなのか」

を整理する。

つまり営業マンは、

物件を見る人ではなく、人生の時間軸を見る人

であるべきです。

 

学区の話に見えて、実は人生の話をしている

学区の話は、表面的にはかなり具体的です。


ただし、その奥にはもっと大きなテーマがあります。

それは、

家族の未来をどう設計するか

です。

子どもにどんな環境を与えたいのか。
家族でどんな暮らしをしたいのか。
老後の不安をどう減らすのか。
家賃を払い続けるのか、資産として残すのか。
今の安心を優先するのか、未来の安心を取りに行くのか。

これは、単なる学区の話ではありません。

人生の話です。

営業マンがここまで見えていないと、話はすぐに物件条件に戻ります。

「この物件はどうですか」
「このエリアはどうですか」
「価格はどうですか」
「間取りはどうですか」

もちろん必要です。

でも、それだけではお客様の本当の判断には届きません。

 

案内前に、もう一度「家を買う理由」を確認する

こういうケースでは、案内前にやるべきことがあります。

それは、

なぜ家を買いたいのかを、もう一度確認すること

です。

案内に入る前に、

「改めてですが、今回お家を探されている理由は、お子様に一人一部屋を作ってあげたいこと、家賃を払い続けるのがもったいないこと、将来や老後の住まいへの不安を減らしたいことでしたよね」

と確認する。

そして、

「今日は、その目的に対してこの物件が合っているかどうかを一緒に見ていければと思います」

と前置きする。ここが大事です。

いきなり物件を見ると、お客様も営業マンも物件条件だけに意識が向きます。

でも、最初に目的を確認しておけば、

「この物件は、その目的に対してどうなのか」

という視点で見られます。

これは案内の質を大きく変えます。 

 

「気に入らなかったら終わり」ではないと伝えておく

もう一つ大事なのは、案内前に逃げ道を作っておくことです。

営業マンが、

「この物件で決めましょう」

という空気を出しすぎると、お客様は構えます。

だから、最初にこう伝えておくと良いです。

「もちろん、今日見ていただいて、この物件が合わないと思えば、それはそれで全く問題ありません。その場合は、改めて今後どう考えるかを一緒に整理させてください」

これを言っておく。
すると、お客様は安心して物件を見られます。

営業マンも、

「この物件で決めなければ」

という圧迫感から少し離れられます。

大事なのは、学区内にたった1軒しかないこの物件を売ることではありません。

その物件を見た結果、お客様の判断が前に進むことです。

気に入れば、契約に向けて進めばいい。
気に入らなければ、なぜ合わなかったのかを整理し、次の判断に進めばいい。

そのための案内です。

 

学区外を提案するなら、順番を間違えない

このケースで、営業マンは学区外の物件を提案したくなることがあります。

学区内に物件がない。
→予算も上がらない。
→なら、エリアを広げるしかない。

この考え自体は間違っていません。

ただし、提案の順番を間違えると、お客様には刺さりません。

いきなり、

「学区外も見ましょう」

と言っても、

「いや、学区は変えたくないです」

で終わります。

なぜなら、お客様の中では、まだ転校に対する懸念と不安が整理されていないからです。

だから先にやるべきなのは、

学区外の物件を出すことではありません。

まず、

・なぜ学区を変えたくないのか
・何が一番不安なのか
・その不安はどのくらい続くものなのか
・学区を変えることで得られるものはないのか
・家を買う本来の目的と比べてどうなのか

を整理することです。

その上で初めて、

「では、学区外も選択肢として見た場合、どういう可能性があるか見てみましょう」

という提案になります。

提案は、物件から始めるのではありません。
お客様の判断軸を整理してから始めるものです。

そして、なぜ学区の優先順位がそれほど高いのか?

を理解することです。

  • 学区が大事なのは、学校そのものが大事だからでしょうか。
  • それとも、子どもの友達関係が大事だからでしょうか。
  • 新しい環境への不安でしょうか。
  • 親としての罪悪感でしょうか。
  • 通学距離でしょうか。
  • 手続きの面倒さでしょうか。

同じ「学区が大事」でも、中身は違います。

その中身を見ないまま、

「学区外で」

と言っても、お客様は動きません。

 

営業マンが本当に問いかけるべきこと

この場面で営業マンが問いかけるべきなのは、こういうことです。

「学区を変えたくない一番の理由は、お子様の友達関係ですか?それとも新しい環境への不安ですか?」
「仮に転校する場合、一番心配なのはどの部分ですか?」
「一方で、お子様に一人一部屋を与えたいというお話もありましたが、そこは今後どのくらい大事になりそうですか?」
「もし1年待ったとして、学区内に希望物件が出なかった場合、そのときはどう考えますか?」
「住宅ローンの年齢や健康面のことも考えると、待つこと自体のリスクはどう見ますか?」

こういう問いです。
これは説得ではありません。

情報と思考の整理です。

お客様が今見えていない視点を、一緒にテーブルに出していくことです。

 

営業マンの仕事は、無理に決めさせることではない

この話は、

「だから学区外で買わせましょう」

という話ではありません。

「転校させても大丈夫ですよと説得しましょう」

という話でもありません。

営業マンの仕事は、無理に決めさせることではありません。

本当にやるべきことは、

判断材料を揃えること

です。

⚫︎学区内に残るメリット
▲区内に残るデメリット

⚫︎学区外に出るメリット
▲学区外に出るデメリット

⚫︎今買うメリット
▲今買わないメリット

⚫︎待つリスク
▲決断するリスク

その全部を整理して、お客様が納得して選べる状態を作る。

それが営業です。

だから、最終的にお客様が、

「やっぱり待ちます」

と言うなら、それも一つの判断です。

ただし、その判断が、

「なんとなく不安だから待つ」

ではなく、

「このリスクも理解した上で、それでも今は待つ」

であれば、営業マンとしてやるべきことはやったと言えます。

 

プロとして伝えるべきことは伝える

営業マンは、お客様に嫌われたくないと思います。

だから、踏み込んだ話を避けたくなることがあります。

特に、子どもの転校や老後不安、住宅ローンの年齢、健康リスクなどは、かなり踏み込みます。

言い方を間違えれば、重くなります。

でも、不動産購入は人生に関わる判断です。

だからこそ、必要な話はしなければいけません。

たとえば、48歳で住宅ローンを組むお客様に対して、年齢や健康の話を全くしないまま、

「また良い物件が出たら見ましょう」

だけで終わっていいのでしょうか。

私は、それは違うと思います。


もちろん、不安を煽る必要はありません。

でも、

「待つことにもリスクがあります」

という話はするべきです。

なぜなら、それを知らずに待ってしまった結果、将来後悔する可能性があるからです。

営業マンは、お客様の機嫌を取る仕事ではありません。

お客様が後悔しないように、必要な情報を届ける仕事です。

 

「今」ではなく「未来」を見る

今回のケースで一番大事なのは、時間軸です。

今だけを見ると、

・転校はかわいそう
・今の友達と離れるのは辛い
・学区内にいた方が安心
・物件が気に入らないなら待つ

となります。

でも未来を見ると、別の問いが出てきます。

・1年後、本当に学区内に物件は出るのか
・そのとき住宅ローンは同じ条件で組めるのか
・子どもに一人部屋を与えるタイミングは遅れないか
・賃貸の家賃を払い続けることは問題ないか
・老後の住まいの不安は解消されるのか
・今の不安を避けた結果、もっと大きな後悔にならないか

これが未来の視点です。

不動産仲介営業マンは、この視点を持つ必要があります。

物件を見るだけなら、誰でもできます。

でも、お客様の未来まで見て、今の判断を一緒に考える。

ここに営業マンの価値があります。

 

物件条件だけの営業から抜け出す

新人営業マンは、どうしても物件条件で話しがちです。

価格。
エリア。
間取り。
築年数。
駅距離。
日当たり。
設備。

もちろん大事です。

でも、それだけだと、お客様の意思決定には届きません。

なぜなら、お客様が本当に悩んでいるのは、物件条件だけではないからです。

今回で言えば、

「この物件が良いか悪いか」

ではなく、

「学区を変えることをどう考えるか」

であり、

さらに深く言えば、

「今の安心と未来の安心をどう天秤にかけるか」

です。

ここまで見えなければ、営業マンの提案は浅くなります。

物件条件だけで話す営業マンは、

「この物件どうですか?」

で終わります。

人生の視点で話す営業マンは、

「この物件が、今回家を買いたい理由に対してどうなのかを一緒に考えましょう」

と言えます。この差は大きいです。

 

最後に

学区内に物件が1軒しかない。
予算も上げられない。
エリアも変えたくない。

こういう場面で、営業マンは焦ります。

「この物件で決めてもらわないと」
「もう他にない」
「何とか気に入ってほしい」

そう思ってしまう。

でも、ここで大事なのは、目の前の物件を売ろうとしないことです。

営業マンが本当に見るべきなのは、物件ではありません。
お客様の人生です。

本当に比べるべきものは、
学区内の物件と学区外の物件ではありません。
転校するか、しないかだけでもありません。

本当に比べるべきなのは、

今の不安

と、

この先30年、40年、50年の未来

です。

転校によって失うものはある。
でも、家を買わないことで失う未来もある。

今の環境を守る安心もある。
でも、未来の暮らしを整える安心もある。

その両方を天秤に乗せること。

そして、お客様が自分たちで納得して判断できる状態を作ること。

それが、不動産仲介営業マンの仕事です。

物件が1軒しかない場面ほど、営業マンの本質が出ます。

物件にすがる営業マンになるのか。
お客様の人生を見て、未来の判断を支える営業マンになるのか。

この差が、信頼の差になります。

そして、長く結果を出せる営業マンと、物件頼みで終わる営業マンの差にもなっていくのだと思います。

この記事の著者

関根 祐太

株式会社Re-Branding 代表取締役
不動産 売買仲介営業 専門/研修講師
 
不動産をはじめ10業種以上の営業現場経験を経て、2023年に株式会社Re-Brandingを設立。1on1などを通して社員一人ひとりの本音や課題に向き合い、組織力を強化する支援を行う。離職率40%削減や売上140%向上といった成果を創出。
 
【専門分野】
不動産売買仲介/離職防止と組織力強化/営業プロセス改善
  
「一人ひとりの本音に向き合い、課題の本質を共に探り、解決へ導く」ことを信条に、企業の未来を共に形作るパートナーとして活動中。

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