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営業力の差は、案内前に決まっている〜同行案内で学べる人と学べない人の差〜

「明日10時、先輩の〇〇さんの案内に同行して学んできて」

と伝えると、新人の不動産仲介営業マンの多くの人はこう考えます。

  • 先輩の話し方を見よう
  • どんな質問をしているか聞こう
  • どうやって買付を取るのか学ぼう

もちろん、それ自体は間違いではありません。

でも私は、この時点で既に大きな差が生まれていると思っています。

なぜなら、案内当日の現場に着いてから学び始める人と、前日の夜から学び始める人がいるからです。


案内同行は「見学会」ではない

新人営業マンが勘違いしやすいのですが、

案内同行は、先輩の後ろについて行って
接客・営業を見学する時間ではありません。

もし、接客を見る・先輩の営業トークを聞く、
ただそれだけならば、

「なんかすごい質問していたな〜」
「話すの上手いな〜」
「そんな切り返しできないな〜」

という、感想で終わってしまいます。

でも、それでは成長できません。

・なぜその質問をしたのか。
・なぜその順番で話したのか。
・なぜそのタイミングで深掘りしたのか。

などの、意図や背景が見えないからです。


先輩は10時から仕事をしているわけではない

ここを新人営業マンは理解しなければいけません。

優秀な営業マンは、
案内が始まる時間から仕事をしているわけではありません。

もっともっと前から、
案内が決まった瞬間から
戦いに向けた準備を始めています。


例えば、

あなたが明日、営業同行する予定の先輩がいたとします。

その先輩は、明日お客様に会うまでに、

  • どんなお客様なのか
  • なぜ家探しを始めたのか
  • 今どこに住んでいるのか
  • なぜこの物件を問い合わせたのか
  • どんな悩みを抱えていそうか

を考えています。

つまり、

案内当日に見えている会話は、
すでに準備が終わった状態の会話なのです。


サーカスの「オンステージ」だけ見ても意味がない

案内同行のその現場の立ち振る舞いだけを見るのは、

サーカスで言うと本番だけを見るようなものです。

観客から見えるのは、華やかなオンステージです。

  • 綺麗な演技
  • 完成されたショー
  • スムーズな進行

でも、

その裏側には、

  • 練習
  • リハーサル
  • 準備
  • 検証

があります。

営業も同じです。

先輩が自然に質問しているように見えるのは、
事前に考えているからです。

お客様の反応を見ながら柔軟に会話できるのは、
事前に想定し、想像し、仮説を立てて準備をしているからです。


案内同行が決まったら、まずシステムを見る

では新人営業マンは、営業同行に行くことになった場合、何をすればいいのか?

答えはシンプルです。

まず調べることです。

同行が決まった瞬間に、システムの顧客情報を確認してください。

そこには、

  • 名前
  • 年齢
  • 現住所
  • 家族構成
  • 問い合わせ物件
  • 購入動機
  • 予算
  • メール履歴

など、事前に収集できた顧客情報が登録されているはずです。

そして、その顧客情報やメールの履歴などを隅から隅まで目を通してみてください。

どんな言葉を使う人なのか。
丁寧な人なのか。短文の人なのか。

そういった情報までも含めて見ていくのです。


住所だけでも、見えるものは多い

例えば、お客様の現住所。

不動産ポータルサイト経由での反響だと
顧客情報に登録されているでしょう。

この住所、たったそれだけでも、
調べられることはたくさんあります。

Googleマップで場所・位置関係を見る。
ストリートビューで、実際の建物や道路の様子を見る。

マンション名をGoogleやXでも調べる。
何か情報は出てくるかもしれない。

賃貸物件なのか。持家なのか。
単身向けなのか。ファミリー向けなのか。
築何年なのか。

お客様に会う前から、
住所から物件情報を調べるだけでも
ある程度の生活背景を想像することができます。

もちろん”ある程度”なので
正解かどうかは分かりません。

でも、
営業とは、仮説を持って会う仕事ですから
案内前段階から、仮説を持って臨むのです。


問い合わせ物件と現住所を「並べて見る」

され、ここからが面白いところです。

新人営業マンは、
ついついお客様から問い合わせがあった物件だけを見がちです。

でも、案内に行く前段階で本当に見るべきなのは、

「問い合わせ物件」と「現住所(現住まい)」との違いor共通点

なのです。


例えば、顧客情報から調べたところ

現在は単身向け賃貸アパート。
家賃は8万円の物件に住んでる様子のお客様。
それなのに、問い合わせ物件は4,000万円の3LDKファミリーマンション。

こんなケースがあったとします。

すると、当然ながら疑問が生まれます。


  • なぜ急に広い家を探し始めたのか?
  • 結婚したのか?子どもが生まれたのか?
  • 子連れの人と再婚した?
  • 親との同居を考えているのか?
  • もしかして自分用ではなく誰かのために買う?

もちろん答えは分かりません。

でも、案内の前段階では
答えを当てることが目的ではありません。

大事なのは、

「なぜだろう?」という疑問を持った状態で会うこと

です。


仮説があると、質問の質が変わる

例えば、何も準備せずに会う営業マンは、

「どんな物件をお探しなんですか?」

から始まったります。

でも、事前に情報を見ている営業マンは違います。

「伺ったご住所を調べたら、お住まいと比べるとかなり広い物件だと思うんですが、何かキッカケがあったんですか?」

という質問が自然に出てきます。

同じ質問でも、
情報を見ている人と見ていない人では、
1つの質問の深さが全く違います。

だから、先輩営業マンは深掘りできるんです。

話が上手いからではありません。
事前に考えているからです。


2回目・3回目の案内なら、さらに見えるものがある

もし今回、同行に行く案件が初回の案内ではなく、
2回目や3回目の案内のお客様ならどうでしょうか。

システムや顧客情報から
過去の案内履歴を見ることができます。

どんな物件を見てきたのか。
どんな物件を断ってきたのか。
なぜその物件を見送ったのか。
そんな葛藤があるのか。

そこからも、
お客様の価値観が見えてきます。


例えば、

  • 駅近/同市内/ばかり見ている
  • 戸建/マンションばかり見ている
  • 新築/中古ばかり見ている
  • 学区/通勤距離/親の意見を重視している

など、そんな傾向が見えてくるかもしれません。

すると、

なぜ今回この物件なのか。
なぜ先輩がこの物件を提案したのか。
も見えてきます。


下調べをした上で、先輩に質問する

ここまで調べて初めて、
先輩へ質問に行きます。

新人営業マンによくあるのが、

何も見ずに、何も調べずに、

「明日はどんなお客様なんですか?」
「この物件はどんな物件なんですか?」

と先輩に聞いてしまうことです。

でも、
それはシステムに登録されている顧客情報を見れば
分かる話かもしれません。

先輩の時間を不要に奪う後輩は
好まれないでしょう。

先輩の時間を無駄にしない。それが、同行させてもらうということです。


ここまでを踏まえると
本当に良い質問というのは、
下調べの後に生まれます。

例えば、

「現在のお住まいと明日見学予定の物件には差がかなり大きいのですが、ここには何か背景があるんですか?」

「過去の案内履歴を見ると、駅近を重視されているように見えるのですが、今回この物件を案内する理由は何ですか?」

こういう質問です。

同じ質問でも、
調べて準備している人の質問は深くなります。

そして、先輩にとっても答えやすい。

何より、自分自身の学びが大きくなります。


営業力の差は、接客力の差ではない

ここで一番伝えたいことがあります。

新人営業マンは、営業力の差を

「話し方の差」
「営業トークの差」
「経験値の差」
「センスの差」

と思いがちです。

でも実際は違います。

営業力の差は、接客中に生まれているのではありません。
接客前から既に生まれています。

  • どれだけ情報を集めたか。
  • どれだけ仮説を立てたか。
  • どれだけお客様を理解しようとしたか。

その差が、

接客中の質問の差になり、
深掘りの差になり、
提案の差になるのです。


最後に

同行案内は、
先輩の後ろに、ただついて行く時間ではありません。

先輩と同じ情報を持ち、
先輩と同じ景色を見るための時間です。

そのためには、
10時から始まる案内の現場だけを見るだけでは足りません。

案内同行が決まった瞬間から、
情報を集め、
仮説を立て、
準備すること。


サーカスのオンステージだけを見ても、
本当の技術は見えません。

舞台裏まで見て初めて、
なぜその演技ができるのかが分かります。

営業も同じです。

営業力の差は、案内前に決まっている。

私はそう思っています。

この記事の著者

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