「メールでお願いします」→「電話で良いですよ」に変わった理由【不動産売買仲介営業】
不動産売買仲介の営業をしていると、お客様からこんなことを言われる場面があります。
「連絡はメールでお願いします。」
新人営業マンだと、この言葉を聞いた瞬間、
「分かりました。それではメールでご連絡します。」
と、そのまま受け取ってしまうことがあります。
もちろん、それ自体が間違いというわけではありません。
ただ、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
本当にお客様は「電話が嫌」だったのでしょうか。
「連絡はメールで」の意味は
ある営業マンがお客様から、
「連絡はメールでお願いします。」
と言わていた場面に遭遇しました。
新人営業マンだと、おそらくそのまま、
「承知しました。メールでご連絡します。」
で終わってしまう人も多い。
でも、その営業マンは違いました。
「もちろんメールでも大丈夫なのですが、お電話でお話しさせていただいた方が、メールだと伝わりにくい言葉のニュアンスまでお伝えできますし、ご質問にもその場でお答えできます。結果として、お客様のお時間も短く済むことが多いので、もしよろしければお電話でお話しさせていただけませんか?」
と伝えたのです。
すると、お客様は、
「ああ、そういうことなら電話でも大丈夫ですよ。」
となりました。
なんでもない一言のようですが、ここには、営業の大切な考え方が詰まっています。
お客様は「手段」を拒否しているとは限らない
そもそも、お客様は最初から、
「絶対に電話は嫌だからメールにして」
と言っているのでしょうか?
もしかすると、
- 電話に出る時間を取られるのが面倒
- 仕事中に電話が来ると困る
- 家族と過ごす時間を邪魔されたくない
- 何を話されるのか分からず警戒している
そんな理由だったのかもしれません。
つまり、
「電話」という手段そのものが嫌なのではなく、電話によって生じるネガティブな要素を避けたかっただけ
という可能性もあります。

だからこそ、
「なぜ電話の方がいいのか」
を説明できれば、お客様の判断は変わることも十分にあり得ます。
人は「やる理由」がないと動かない
これは営業だけではありません。
人は基本的に、
やる理由がないことはやりません。
逆に、
やる理由があり、さらにメリットがあることは行動します。

今回のケースで言えば、
お客様が電話で話すことのメリットとして、
- メールでは伝わりづらいニュアンスが伝わる
- 質問にその場で答えられる
- 何往復もメールをする必要がない
- 結果として時間の節約になる
- 認識のズレが起きにくい
というものがあります。
これをお客様に伝えられれば、
「確かに電話の方が良さそうですね。」
となる可能性があります。

営業都合だけでは、人は動かない
ここで注意したいのは、
「電話の方が営業しやすいから」
という自己都合では、お客様は動かないということです。
例えば、
「電話の方が説明しやすいので。」
だけだと、
「それって営業さんの都合ですよね?」
となります。
お客様からすれば、
「いや、面倒だからメールでいいです。」
で終わってしまいます。

だからこそ、
“お客様にとってのメリット”
を伝える必要があります。
- お客様の疑問をすぐ解消できる
- 時間のロスを減らせる
- 認識違いを防げる
- より正確な情報を共有できる
これらは、お客様側のメリットです。
営業の都合ではありません。
それでも動かないなら、ネガティブ要因がある
もちろん、メリットを伝えても、
「いや、やっぱりメールでお願いします。」
というお客様もいます。
その場合は、
電話を避けたい理由が、それ以上に大きい
ということです。
例えば、
「仕事中の電話は本当に困る。」
「子どもが寝る時間だから難しい。」
「家族に聞かれたくない。」
「電話そのものがストレス。」
こういった背景があるかもしれません。

その場合は、
無理に電話へ切り替える必要はありません。
むしろ、
「それならメールで進めましょう。」
と、お客様に合わせることも大切です。
「理由」は、最強の推進力になる
例えば、住宅ローンの事前審査の場合。
銀行から、
「本人確認のお電話をさせていただきます。」
と言われることがあります。
普段、
「電話は苦手なんです。」
「電話は面倒だから嫌だ。」
と言っているお客様でも、この電話には出ます。
それは、なぜか?
電話に出なければ、ローン審査が進まないからです。
つまり、
“やらなければいけない理由”が明確だからです。
そして、
ローン審査が進むことで、
家を買うという目的に近づける。
つまり、
“やるメリット”
もある。
だから人は動きます。
営業で大切なのは「理由」と「メリット」
今回の事例から学べることはシンプルです。
お客様が動かないとき。
お願いしたことを受け入れてもらえないとき。
そのときは、
「伝え方が悪かった。」
と考える前に、
次の2つを確認してみてください。
① やる理由は伝わっているか?
- なぜ必要なのか。
- なぜ今なのか。
- なぜこの方法なのか。
- ここは明確になっているか。
② お客様にとってのメリットは伝わっているか?
それをすることで、
- お客様は何を得られるのか。
- どんな不安が減るのか。
- どんな損失を防げるのか。
- ここは言語化できているか。

この2つが伝われば、人は意外と動いてくれます。
逆に言えば、
お客様が動いてくれないときは、
このどちらかが不足している可能性があります。
最後に
新人営業マンほど、
「どう返せばいいんだろう。」
「どんなトークを覚えればいいんだろう。」
と考えます。
でも、本当に大切なのは、
トークそのものではありません。
そのお願いには、
どんな理由があるのか。
お客様にどんなメリットがあるのか。
そこを理解しているかどうかです。

メールか、電話か。
予算の話か、購入タイミングの話か。
どれも同じです。
営業とは、
お客様を無理やり動かす仕事ではありません。
お客様が、
「なるほど、それならやった方がいいですね。」
と納得して動ける状態をつくる仕事です。
だからこそ、営業マンは常に考えなければいけません。
「このお願いには、どんな理由があるのか。」
「お客様にとって、どんなメリットがあるのか。」
その答えを持てたとき、営業の言葉は強くなると思っています。

